福島県立医科大学 研究成果情報

米国科学誌「Journal Of Cognitive Neuroscience」 掲載 〔平成29年11月〕(2017-11-13)

Ventrolateral Prefrontal Cortex Updates Chosen Value According to Choice Set Size.

腹外側前頭前野の活動は選択後の価値のアップデートを反映する

藤原 寿理 (ふじわら・じゅり)
医学部 システム神経科学講座 助教
        
研究グループ
藤原寿理、臼井信男、永福智志、飯島敏夫、泰羅雅登、筒井健一郎、Philippe N.Tobler

概要

論文掲載誌:「Journal Of Cognitive Neuroscience 」(2017 Nov. 13 : online)

自ら選んで手にした物の価値が選択前に比べて高くなることは以前から知られていたが、一方で選択肢の数が多すぎると選ぶ行為が負担になることも経済学的に知られていた。
本研究ではこの両者に対し、fMRI(機能的磁気共鳴画像)法を用いた神経経済学という新しい分野からのアプローチを試みることでその価値のバランスが脳のどこでどのように調節されているのかについて検討した。
結果、選択肢の数が多くなるにつれて選択後の商品価値は選択前に比べて上昇するが、ある程度の数(本研究では選択肢の数4つ)を超えると価値の上昇は止まり、その後下がり始めることが行動学的に示された。
このことから、選択肢が多くなることで自由度は増すが、その一方で多くの中から一つを選ぶことでその他を切り捨てなければいけないといった選択負荷が生じることが考えられ、その影響が選択後の再評価に現れたことが示唆された。この複雑な選択後の価値のアップデートは脳内では腹外側前頭前野で調節されていることが明らかになった。
われわれは更に選択時点の脳活動も解析することで、選択肢が増えることによる選択負荷が痛みや負の情動関連領域である島皮質と前部帯状皮質で表現されていることも明らかにした。

(藤原寿理)


連絡先

公立大学法人福島県立医科大学 医学部 システム神経科学講座  助教 藤原寿理
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