福島県立医科大学 研究成果情報

日本産業衛生学会  2013年 産業衛生学雑誌 優秀論文賞 (2014-05-22)

福島第一原子力発電所における事故収束作業員の熱中症発生に関する特徴

Worker Heat Disorders at the Fukushima Daiichi Nuclear Power Plant

辻 雅善 (つじ・まさよし)
福島県立医科大学医学部 衛生学・予防医学講座 助教
        

今回の受賞について

【 日本産業衛生学会 】 日本産業衛生学会は、産業衛生に関する学術の振興と、勤労者の職業起因性疾患の予防および健康維持増進を図り、もってわが国の学術と社会の発展に寄与することを目的としています。目的を達成するために、「産業衛生に関する学術集会、講演会、研修会等の開催」、「学術誌、学術図書の刊行」、「許容濃度等、産業衛生に係る各種基準等の勧告」などの事業を行っています。会員数およそ8000人で構成されています。

【 産業衛生学雑誌 優秀論文賞 】

「産業衛生学雑誌」に掲載された優れた論文を表彰することにより、優秀な研究を奨励し、産業衛生学の発展に寄与することを目的としています。本賞は、当該年に「産業衛生学雑誌」に発表された全種類の論文のうち、特に優秀な論文に対して与えるものです。

概要

 優秀論文賞の審査基準となる、研究論文の独創性、学術・技術上の寄与と波及効果、表現のわかり易さについて編集委員会から高い評価を受けて、この度の受賞に至りました。

本研究の概要を紹介します。
福島第一原子力発電所事故(以下、原発事故)発生以降、毎日約3000人の作業員が事故収束のために従事しています。これら作業員は、通気性の悪い防護服を着用して作業を行っているため、夏場において熱中症の頻発が心配されます。今後の原発作業員における熱中症予防対策の一資料とするため、原発事故以降に発生した熱中症の分析を試みました。
研究を通して、原発事故の収束作業員では、屋外で働く一般労働者の熱中症予防対策に加えて、より若年齢層から、より早い時間帯(午前中)から、より早い時期(6月)から熱中症の予防が重要であることがわかりました。具体的には、WBGT(暑さ指数)を用いて、午前中や6月など湿度の高い日においても、作業時間の制限など作業管理を徹底することなどが挙げられます。
本研究結果の特徴を踏まえ、今後、原発事故の収束作業員に対して熱中症予防対策を実施することが必要であると考えます。

(辻 雅善)
※ 写真は受賞時の模様

 


関連サイト

連絡先

公立大学法人福島県立医科大学 医学部 衛生学・予防医学講座
電話 024-547-1174 / FAX 024-547-1174
講座ページ http://www.fmu.ac.jp/home/hygiene/
〔受賞論文 関連ページ (J-STAGE 産業衛生学雑誌)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/sangyoeisei/55/2/55_B12008/_article/-char/ja/
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