福島県立医科大学 研究成果情報

平成25年度 日本老年社会科学会 奨励賞 〔平成25年6月受賞〕(2013-06-30)

「地域高齢者における心理的要因と健康アウトカムの関連」

岩佐  一 (いわさ・はじめ)
福島県立医科大学医学部 公衆衛生学講座 講師
        

今回の受賞について

【 日本老年社会科学会 】
日本老年社会科学会 は1959年に設立され、社会学、経済学などの社会科学に限らず、社会福祉学、心理学、建築学、保健学、看護学、精神医学などからの老化と老人問題、サービスに関わる研究をとりあげる学際的な学会です。
会員は社会・行動科学、健康科学の研究者のほか、医師、看護師、社会福祉・介護の専門職など多岐にわたり、現在、1402名で構成されています。

【 日本老年社会科学会 奨励賞 】
老年社会学の分野における研究または実践活動において、価値ある業績を挙げている会員に対し授与されるものであり、2007年に創設されました。2011年(平成23年)には、当講座所属山崎幸子助教(当時)が 同賞 を受けています。 〔関連サイト〕
日本老年社会科学会 HP (http://www.rounenshakai.org/)
奨励賞 関連ページ

概要

高齢者における健康維持には、身体的要因(慢性疾患や体力等)、社会的要因(社会経済的地位や家族・友人関係等)、環境的要因(居住地域や住環境等)に加え、心理的要因も影響及ぼします。 我々はこれまでに、高齢者における心理的要因(性格、認知機能、抑うつ傾向)と健康アウトカムの関連について明らかにするために追跡調査を行ってきました。 今回、一連の研究成果が評価され受賞に至りました。 ここでは、性格と健康の関連について検討した研究成果についてご紹介します。 性格は5つの要素(「神経症傾向」、「外向性」、「開放性」、「調和性」、「誠実性」)から構成されます。地域にお住まいの高齢者にご協力をいただいて追跡調査を実施し、性格と、生命予後(長生き)、生活機能(高齢者が自立し活動的な生活を送るために必要な総合能力)との関連について検討しました。 その結果、「外向性」の高い高齢者(社交的・外出好き)、「開放性」の高い高齢者(知的好奇心が高い)、「誠実性」の高い高齢者(几帳面・自己統制感が強い) は元気で長生きである ことが明らかになりました。 以上より、高齢者の持つ性格には個人差が有り、健康維持に深く結びついたものがあることが分かりました。こうした心理的要因について配慮することにより、高齢期における健康づくりをより有効に進めることができる と考えられます。

(岩佐 一) ※ 写真は受賞講演時の模様


連絡先

公立大学法人福島県立医科大学 医学部 公衆衛生学講座
電話 024-547-1180 / FAX 024-547-1183
講座ページ http://www.fmu.ac.jp/home/public_h/index.htm
講座代表メールアドレス public-h@fmu.ac.jp