福島県立医科大学 研究成果情報

第 5回 臨床薬理研究振興財団 研究大賞 受賞 〔平成24年11月受賞〕(2012-11-20)

「ゲノム薬理学からみた前立腺肥大症物療法におけるオーダメード医療」

小島 祥敬 (こじま・よしゆき)
福島県立医科大学医学部 泌尿器科学講座  教授
        

今回の受賞について

【 臨床薬理研究振興財団 】
臨床薬理研究振興財団は、臨床薬理に関する研究を奨励、振興するとともに臨床薬理研究者の育成を助成、促進することを目的に1975年9月25日に設立されました。
また、2010年12月1日に公益法人として内閣府より認定されました。

当財団は 橋渡し研究 (Translational Research) を積極的に支援、助成し、臨床薬理学の普及とその研究者の育成を通じ、医学、薬学の発展と人類の保健衛生、福祉の向上に貢献することを目的としています。

臨床薬理研究振興財団研究大賞は、当財団が贈呈した「研究奨励金」を用いて研究し、その後提出された研究報告の中から、革新的で且つ今後更なる発展が期待できる研究を研究大賞として表彰するものです。
贈呈式と受賞講演は平成24年11月9日に執り行われ、記念の楯を授与されました。

概要

小島氏はこれまで、ゲノム薬理学 に基づいた解析により、前立腺肥大症の薬物治療における オーダーメード医療 の実現に向けた基礎的研究を行ってきました。

前立腺肥大症は、50歳以上の多くの中高年男性に発症する 排尿障害 を主訴とする疾患で、QOL を著しく損なうため、超高齢社会の到来とともに重要な疾患として位置づけられています。
一方近年、患者の個々の遺伝的特徴に合わせて最も効率的な薬物投与を行うという、ゲノム薬理学とオーダーメード医療の概念が支持されています。一般的に、様々な疾患に対して薬物治療を行う上で、ひとつの薬剤が同じ疾患をもつ患者さんすべてに効果的であるというわけではありません。
小島氏は、前立腺肥大症に対する薬剤効果は、個々の患者さんが有する遺伝的背景により規定されることを証明しました。現在、遺伝的特徴をもとにした新たな前立腺肥大症薬物治療アルゴリズムの構築を目指し、将来の臨床応用への実現化に向けてさらなる研究を進めているところです。

機能ゲノム科学の進歩により、様々な疾病の原因解明や診断による効率的な治療の選択が今後可能になることが予測されています。
将来的に、前立腺肥大症のようなありふれた疾患に対しても、患者の遺伝的体質に合わせた治療計画が期待されることを示唆した点で、意義の大きい研究成果と考えられ、今回受賞に至りました。

 

これまでの受賞略歴

 

  • 平成15年 第91回 日本泌尿器科学会総会 総会賞
  • 平成16年 第11回 日本排尿機能学会 学会賞 (臨床部門)
  • 平成16年 名古屋桜仁会 医学研究奨励賞
  • 平成17年 第4回 ノボ・ノルディスク成長・発達研究賞
  • 平成19年 第95回 日本泌尿器科学会総会 総会賞
  • 平成19年 第8回 オルガノン泌尿器科 研究奨励賞
  • 平成19年 第102回 American Urological Association 2007 Annual Meeting Basic research Top10 presentation
  • 平成20年 第66回 社団法人日本泌尿器科学会 坂口賞
  • 平成20年 第103回American Urological Association 2008 Annual meeting Best of Presentations
  • 平成21年 第15回 社団法人日本泌尿器科学会 学会賞(臨床的研究部門)
  • 平成22年 第4回 瑞友会賞(学術部門)
  • 平成22年 第1回 日本Endourology and ESWL(日本泌尿器内視鏡)学会 学会賞
  • 平成23年 第99回 日本泌尿器科学会総会 総会賞
  • 平成23年 第41回 International Continence Society Award for Innovative Research
  • 平成24年 第5回 臨床薬理研究振興財団研究大賞
  • 平成24年 第21回 日本小児泌尿器科学会 学会賞(臨床部門)
  • 平成24年 第5回 臨床薬理研究振興財団大賞 

 


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