福島県立医科大学 研究成果情報

「第54回 野口英世記念医学賞」に藤田禎三教授(免疫学講座)(2010-10-06)

野口博士の研究に関連する免疫学領域での高い業績が認められ、 本学の研究者としては、初めての受賞となりました。

藤田 禎三
福島県立医科大学 医学部免疫学講座 教授

「野口英世記念医学賞」 と今回の受賞について

「野口英世記念医学賞」(The Hideyo Noguchi Memorial Award For Medical Sciences)は、黄熱病や梅毒の研究、細菌学の権威として世界的に著名な本県出身の医学者 野口英世博士の偉業を顕彰し、博士の専門領域であった免疫学、 細菌学の分野で顕著な業績を挙げた研究者に授与されています。(主宰: 財団法人 野口英世記念会)。

本賞は1957年(昭和32年)に創設され、第1回受賞の細菌学者 緒形規雄氏(「適塾」の開祖 緒方洪庵の末裔)より続く歴史ある賞で、世界的にレベルが高い日本の免疫学において、本賞の受賞者は特に優れた研究業績を挙げています。

第54回となる2010年(平成22年)は、本学の藤田禎三教授(医学部免疫学講座)の受賞が決定し、10月 6日文部科学省にて公式発表されました。福島県在住の研究者では、第3回に「野兎病(やとびょう)の研究」で選ばれた大原甞一郎氏(大原綜合病院・福島市) に次いで51年ぶり、本学関係者としては初めての受賞となります。

今年は野口博士が1900年(明治33年)に横浜から単身渡米をして110年にあたります。その節目の年に、博士の出身地・福島県の医学教育のみならず、医療行政にも長きにわたり貢献してこられた藤田教授が選ばれたことは、本学にとっても極めて意義深く、記念すべき年となりました。

授賞式は、10月30日(土)に 野口英世記念会館 (東京都新宿区)にて行われました。

受賞対象研究

「自然免疫に働く補体レクチン経路の発見」

主たる業績

  1. レクチンに結合する補体酵素MASPを見いだし、第3の補体活性化経路を発見した。
  2. この新しい活性化経路を 「レクチン経路」 と命名し、自然免疫に働くことを解明した。
  3. 新たなレクチンとしてフィコリンを発見し、補体レクチン経路の認識分子として働くことを明らかにした。
  4. 補体レクチン経路の進化過程を解明し、動物界において古くから生体防御に働くことを明らかにした。

関連情報

当日の様子と学長祝辞

「第54回 野口英世記念医学賞」に藤田禎三教授(免疫学講座)

授賞式の模様 (平成22年10月30日 於:野口英世記念会館(東京都新宿区))

「第54回 野口英世記念医学賞」授賞式は、10月30日(土)  野口英世記念会館 (東京都新宿区) にて行われ、約120人の医学関係者、福島県関係者等が出席し、藤田教授の功績をたたえました。

選考委員長 笹川千尋氏(東京大学医科学研究所所長)による選考経過報告に続き、野口英世記念会会長 高添一郎氏より賞状が授与されました。来賓の日本医師会長 原中勝征氏(代理 同副会長 羽生田俊氏)、福島県知事 佐藤雄平氏(代理 同県東京事務所長 星春男氏)、そして菊地臣一本学理事長兼学長が祝辞を贈り、厳粛な中にも和やかな雰囲気で執り行われた授賞式となりました。

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学長祝辞

藤田禎三先生、栄えある第54回野口英世記念医学賞の受賞、誠におめでとうございます。
心からお祝いを申し上げます。

数ある医学賞の中でも歴史と権威あるこの賞を、野口英世博士のふるさと福島県の研究者である藤田先生が受賞されましたことは、本学そして本県にとって本当に喜ばしいことです。
と同時に、野口英世記念医学賞がこうして半世紀を超える長きにわたり、我が国の医学研究の発展に寄与しておられますことは極めて意義深く、歴代の会長様を始め関係の皆様がその御努力と御労苦で今日(こんにち)まで支えてこられたことを、福島県人の一人として誇りに思います。

この度の藤田先生の快挙は、たいへん長い年月をかけてこつこつと研究を積み重ねてきた結果として導かれた偉大なる業績であります。
私は、普段から 「愚直に継続すること」 の大事さを教職員に説きながら、自らもその言に違(たが)わぬよう、実行してまいりました。どんなに小さなことであっても一心に取り組み続けることで必ず道が開けると信じているからです。

藤田先生は、補体研究ひとすじで、まさにその 「愚直なる継続」 によって、今回、この栄誉に輝かれたわけでありまして、研究者の鑑とも言うべきその粘り強い研究活動に敬意を表します。
かつて野口英世博士の生家を訪ねたときに見た、柱に刻まれた 「志を得ざれば再びこの地を踏まず」 の言葉は、当時の幼い私にも深い感銘を残しましたが、今回の藤田先生の受賞に接し、初心を貫かんとする野口博士の意志の強さへの感慨が鮮明に蘇ってまいりました。

福島県立医科大学医学部免疫学講座の教授である藤田禎三先生は、平成2年7月、筑波大学基礎医学系助教授から赴任されて以来、20年の長きにわたり本学の発展にも貢献してこられました。

平成18年に本学が公立大学法人として新たな一歩を踏み出してからは、今春までの4年間、教育研究担当理事兼副学長として大学部門のかじ取り役を果たしてくださいました。理事を退任した現在もなお、顧問として大学運営に側面から支援いただいております。
さらに、今回受賞した研究が、臨床面での応用にもつながる可能性がある基礎的研究であったこととも重なりますが、本学で展開されている基礎と臨床の橋渡し研究も精力的にけん引されており、ますます研究意欲は旺盛です。

藤田先生が、この野口英世記念医学賞の受賞を契機として、さらなる研究に没頭し、さらに偉大な成果を上げられますよう期待する次第です。

結びに、本日御列席の皆様の御健勝と財団法人野口英世記念会の末永い発展をお祈りいたしまして、お祝いの言葉といたします。

平成22年10月30日

福島県立医科大学 学長 菊地臣一

        

連絡先

公立大学法人福島県立医科大学 医学部免疫学講座
電話 024-547-1148 (直通) /FAX 024-548-6760
Email: immunol@fmu.ac.jp