福島県立医科大学 研究成果情報

加齢に伴うthiol酸化とsenescence marker protein‐30は冠攣縮発生に関与する(2013-10-01)

論文題名 Coronary Artery Spasm Related to Thiol Oxidation and Senescence Marker Protein-30 in Aging.
加齢に伴うthiol酸化とsenescence marker protein‐30は冠攣縮発生に関与する
著  者 山田 慎哉、斎藤 修一、待井 宏文、水上 浩行、星野 寧人、三阪 智史、石神 昭人、竹石 恭知
雑誌名 Antioxidants & Redox Signaling
発行日 2013年10月1日
巻(号)、ページ 19(10):1063‐1073.
要   旨
近年本邦では、高齢化が急速に進行し、心血管疾患の罹患率と死亡率は今後ますます増加することが予想される。とくに虚血性心疾患は、そのなかでも代表的な疾患として考えられ、その発症予防と治療法の確立が現在強く望まれている。本邦に多くみられる冠攣縮性狭心症においても同様に加齢に伴いその発症頻度は増加するといわれている。その要因として以前より加齢に伴う酸化ストレスの増大が冠血管攣縮に関与していると考えられているが、その機序および治療法に関しては不明な点が多い。そこで、活性酸素種産生系に影響を及ぼす抗老化蛋白Senescence Marker Protein‐30 (SMP‐30)に注目し、SMP‐30ノックアウトマウスを用いて加齢に伴う酸化ストレスの亢進と冠血管攣縮発生との関連について研究を行った。その結果、酸化ストレスの亢進にともない、冠血管内皮細胞において生体内の主要な酸化反応であるS‐グルタチオニル化が促進され、血管拡張作用を有する一酸化窒素産生の低下および冠血管攣縮に関与している可能性が示唆された。