福島県立医科大学 研究成果情報

第51回 癌治療学会 優秀演題賞 〔平成25年10月受賞〕(2013-10-12)

「DNAマイクロアレイを用いた網羅的遺伝子発現解析による 淡明細胞型腎細胞癌の予後分類」

柳田 知彦 (やなぎだ・ともひこ)
福島県立医科大学医学部 泌尿器科学講座 学内講師
        

今回の受賞について

【 日本癌治療学会 】
1万7,000名強の会員によって構成される本邦最大のがん臨床系専門学会で、昨年(2012年度)で設立50周年を迎えた団体です。優秀演題賞は、年次開催の学術集会における学会賞応募演題の中から選出~表彰され、今回、柳田学内講師が受賞しました。

 

概要

腎細胞癌 は進行例での致死率が高く、臨床の場において治療に難渋する泌尿器癌の一つです。 腎臓の様々な部位をoriginとして発生し、少なくとも5つの組織亜型があります。この中で淡明細胞型は80%以上を占め、最も多い組織亜型になります。 腎細胞癌は、このような病理組織のみならず遺伝子発現において、さらに臨床経過や分子標的薬などの治療薬への反応性においても多様性を示すことが特徴であり、臨床の場での判断に苦慮する要因にもなります。 今回の研究では、最も治療機会が多い淡明細胞型腎細胞癌を対象として網羅的遺伝子発現解析を行い、この遺伝子発現様式での分類が疾患予後と強く相関することを確認しました。 この分類からは臨床病理分類とは異なる予後情報が得られ、さらに分子標的薬の標的遺伝子の発現においても相違を認めた事から、臨床における予後予測や治療薬選択に応用できると考えられました。 この予後分類を規定する数十種類の遺伝子が同定されたことから、この遺伝子の機能解析など、さらに研究を継続・発展する予定です。

(柳田 知彦)


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