MRIと閉所恐怖症

MRI検査が世の中に出てから30年以上経ちました。装置の高性能化と撮像技術の急速な進歩により、今では、身体の様々な部位の病巣を明らかにしてくれるようになりました。MRI装置は、身体の断面を画像化することができます。大きな磁石による強力な磁場と、テレビのような電波を使って断層画像を作ります。放射線を使わないため、 MRI検査は被ばくが無いところも優れた点です。

写真はMRI装置の外観です。強力な磁力を発生させるため大型で、その中央の穴に身体を入れて検査します。頭の検査の場合、膝から上の身体が穴の中に入ります。頭には全体を覆う大きなヘルメットのようなものが被せられます。検査時間はかなり長く、30分以上かかることもざらです。検査中に身体が動くと撮りなおす必要があり、それを防ぐためヘルメットの中で頭を左右からがっちりと固定します。ちょうど耳のあたりが抑え込まれ、外の音が全く聞こえなくなります。目を開けるとヘルメットの小さな窓からMRI装置の内側が目の前に迫っています。このように、MRI検査の圧迫感はかなりのものです。さらに検査時は、工事現場の「ダッダッ,,」、「ガッガッ,,」とでもいうような大音響です。

大抵の方は、そんな状況でも普通に検査を受けています。しかし、耐えられない方も稀にいます。実は、私は閉所恐怖症でMRI検査を受けることを恐れる1人でした。30年弱も検査をする側だったのに、先日、どうしても頭の検査を受けなくてはならなくなりました。前に働いていた旧秋田県立脳血管センターで受けました。事前にスタッフに事情を説明して検査に臨みました。極力検査時間を短縮し、途中何度も声をかけていただきながらなんとか終えることができました。患者になってみて、医療従事者の心のこもったケアがいかに大事か、改めて身に沁みました。やはり、将来、診療放射線技師の仕事が、人工知能に奪われることは決してないでしょう。

MRI装置の外観と検査用ベッドが写っている医療施設の内部の写真。

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