広瀬川の鮭
- 教授
- 高橋 規之
- たかはし のりゆき
- 医用画像工学
私が住んでいる仙台市には、「青葉城恋歌」の歌詞にもある広瀬川が中心部を流れおり、川の両脇の至る所に遊歩道があり散歩やジョギングをする人の姿が多くみられます。私の家から歩いて10分程のところにもあり、河原に降りて水の流れの音を聴きながら高層ビルと季節ごとの木々の色のコントラストを楽しむことができます。
毎年11月初旬になるとこの場所を訪れ、鮭の遡上を観察するのが大好きです。川幅いっぱいに大きな堰があり、その下の流れが落ち着いたところで鮭たちが繁殖行動してしています。それを見ていると、小学校の頃、鮭の一生を教科書で読んだ記憶がよみがえります。アラスカの海まで行き、4年後に故郷の川に戻ってくる能力に驚いたことを覚えています。夕暮れ時、水面に背びれを出しながらジャバジャバと、最後の力を振絞り懸命になっている鮭の姿を見ると、胸を打たれます。その姿は、私の歳のせいか人生に重ねてしまいます。
そんな鮭たちをここ数年見ることが少なくなりました。特に昨年から急激に減り、10月に少しの群れが来たぐらいで今年も終わってしまったようです。水産庁のデータを調べてみたところ、北海道を含め日本各地で鮭の遡上が激減しているそうです。そしてその原因は、地球温暖化と明言しています。冷たい海水でしか生きられない鮭は、もう広瀬川には戻らないのでしょうか。
