体験記が開く世界

最近、『幻肢痛日記』という本を読みました。著者の青木彬さんは、右足を切断したあと、「幻肢痛(げんしつう)」と呼ばれる、実際には存在しないはずの足に痛みを感じるという不思議な現象を体験します。この本では、その幻肢痛について、青木さん自身の言葉で、時にはユーモアを交えながら丁寧に綴られており、とても心に残りました。

障害のある方が、自らの経験を記した本を読むことは、作業療法を学ぶ学生にとって非常に大切な学びになると思います。たとえば、認知症の当事者が書いた『私は誰になっていくの』(クリスティーン・ボーデン)や、自閉症の体験を描いた『自閉症だった私へ』(ドナ・ウィリアムズ)なども、当事者の視点で世界が語られています。こうした本を読むことで、教科書には載っていない、主観的で生き生きとした感覚に触れることができます。そうした言葉に出会うことで、他者の立場を想像する力を育むことができるのではないかと思います。
興味を持たれた方は、ぜひこうした本を手に取ってみてください。

『幻肢痛日記』という本が置かれた窓辺の風景。著者の青木彬さんの体験を描いた作品。

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