Occupational Being(作業的存在)
- 講師
- 川又 寛徳
- かわまた ひろのり
- 作業リテラシー、人間作業モデル、地域リハビリテーション、ヘルスプロモーション、介護予防
私の長女は地元のサッカースポーツ少年団に所属しています。主役は子どもたちですが、その子どもたちが練習をするグラウンドの片隅で、誰が音頭を取るわけでもなく、見学しているお父さん同士で鳥かご(3対1のパス回し)が始まります。時には子どもたちを相手に試合をします。最近はそれで飽き足らず、お父さんが主役の練習日ができました。お父さん同士のつながりで、外国籍の方も参加しています。将来的には大会への出場も目指すとのこと。毎日のデスクワークから解放され、緑の芝の上を駆け回り、ボールを思いきり蹴る爽快感は他に得難いものです。また、30~50代の大人が、痛風や腰椎椎間板ヘルニアなど、各々抱える体の不調や痛みをいたわりながら、真剣にピッチを駆け回りボールを蹴る姿を見せることは、子どもたちにサッカーの醍醐味を伝え、地域のコミュニティの一員であることを教育するよい機会であると考えています。
つらつらとサッカーの話をしましたが、本題です。本業である作業療法の視点で分析すると、今の自分(being)は、長女がスポーツ少年団に所属し(belonging)、サッカーという作業(Occupation)をする(doing)ことを通して、私自身もサッカーをして(doing)楽しみ、サッカーを通して普段かかわりが薄い地域のコミュニティに所属するようになり(belonging)、そこで新たな楽しみや役割、習慣を獲得し、将来の自分が出来上がっていきます(becoming)。この循環が、作業的存在(Occupational Being)としての私自身をかたちづくっていきます。
今回は作業(Occupation)を通して、その人らしさや健康を促進する作業療法士の見方を紹介しました。私にとって大事な作業はサッカーをすることですが、皆さんはどのような作業を通して、将来どのような自分になっていきたい(becoming)と考えていますか?その思い描く将来に「作業療法士になること」があれば、ぜひ福島医大の作業療法学科に入学し、作業について一緒に学びましょう!
