
- 池田 和彦(いけだ・かずひこ)
- 医学部 輸血・移植免疫学講座 教授

- 大戸 斉(おおと・ひとし)
- 総括副学長
- 研究グループ
- Kazuhiko Ikeda, Hitoshi Ohto, Yoshiki Okuyama, Minami Yamada-Fujiwara, Heiwa Kanamori, Shin-ichiro Fujiwara, Kazuo Muroi, Takehiko Mori, Kinuyo Kasama, Tohru Iseki, Tokiko Nagamura-Inoue, Nobuharu Fujii, Takashi Ashida, Kazuaki Kameda, Junya Kanda, Asao Hirose, Tsutomu Takahashi, Kazuhiro Nagai, Keiji Minakawa, Ryuji Tanosaki
概要
論文掲載雑誌:「Transfusion Medicine Reviews」online(June 1, 2018) ※7月号掲載予定
造血幹細胞は血液の源になる細胞です。造血幹細胞移植は、白血病などの病気を治療するために、放射線や抗がん剤を使って患者さんの造血細胞を消滅させてから、ドナーの造血幹細胞を静脈から投与(これを輸注とよびます)して正常な造血を回復させる治療法です。造血幹細胞移植は、輸注される細胞の種類によって、骨髄移植、末梢血幹細胞移植、およびさい帯血移植の3種類に分けられます。
輸血の際、赤血球や血小板などを輸注することによって、アレルギーなどの副反応を含む様々な有害事象が起こることがあります。こうした輸血による有害事象の監視体制は広く確立されています。一方、造血幹細胞移植では、造血幹細胞の輸注による様々な有害事象が経験的に知られていましたが、詳しい調査はほとんどされてきませんでした。そこで私たちは、造血幹細胞移植として行われる骨髄移植、末梢血幹細胞移植、およびさい帯血移植について、造血幹細胞が輸注される際に発生する有害事象の頻度や重症度などを正確に評価するための全国的な前向き調査を、日本輸血・細胞治療学会主導のもと、世界ではじめて実施しました。
造血幹細胞製剤の輸注による有害事象は、末梢血幹細胞移植、骨髄移植、さい帯血移植のすべてで認められ、血圧上昇は骨髄移植、アレルギー反応は末梢血幹細胞移植で特に多い傾向がみられました。どの種類の移植でも、低酸素血症やアナフィラキシー、血圧の急上昇など、重い有害事象が一定の頻度で起こることが判明しました。また、以前に輸血による副反応をおこしたことのある患者さんでは、造血幹細胞製剤の輸注による有害事象も増加することがわかりました。
造血幹細胞の輸注に際して注意すべき点が明確になり、今後、造血幹細胞移植の安全性の向上に大きく役立つと考えています。
(池田 和彦)
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