- 三阪 智史 (みさか・ともふみ)
- 循環器内科学講座・地域先端循環器病治療学講座 講師
- 研究グループ
- 三阪智史、義久精臣、一條靖洋、石橋伸治、松田美津子、山寺幸雄、大原妃美佳、菅原由紀子、安齋文弥、佐藤悠、阿部諭史、佐藤崇匡、及川雅啓、小林淳、竹石恭知
概要
論文掲載雑誌:「Clinical Research in Cardiology」掲載(令和5年4月20日)
心不全の病態には、心臓と他臓器との多臓器連関が密接に関連しています。しかし、心臓と脾臓との連関の意義は十分に明らかになっていません。超音波エラストグラフィは、非侵襲的に臓器組織の質を定量化できる技術です。
本研究では、232名の心不全患者を対象に腹部超音波検査を行い、脾臓のshear wave elastography(SWE)とshear wave dispersion(SWD)を定量化して、組織の弾性と粘性を評価しました。
その結果、脾臓SWEは右室面積変化率と負の相関を示しましたが、うっ血の指標とは関連性を認めませんでした。次に、脾臓パラメータの三分位に基づいて患者を3群に分類して中央値494日の追跡期間で予後を調査しました。Kaplan-Meier解析では、脾臓SWEとSWDが最も高い値を示した患者では、心臓死と心不全増悪を含む心イベント発生率は有意に高率でした。多変量Cox比例ハザードモデルでは、脾臓SWEとSWDは心イベントのリスク増加と独立して関連していました。このメカニズムについては、末梢白血球の単球/マクロファージ関連分子であるCD36のmRNA発現を評価して検討を行いました。脾臓SWE値は、CD36発現増加と関連しており、脾臓の構造的リモデリングと末梢炎症細胞との機能的な関連性が示唆されました。
以上の結果から、脾臓の超音波エラストグラフィは、心不全患者における予後の層別化に有用であり、心臓-脾臓連関が心不全において重要な役割を果たしている可能性があり、さらなる検討が必要です。
関連サイト
- 論文(掲載誌サイト)
https://doi.org/10.1007/s00392-023-02183-7
連絡先
循環器内科学講座・地域先端循環器病治療学講座
職・氏名:講師 三阪 智史
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