福島県立医科大学 研究成果情報

米国科学誌「International Journal of Medical Sciences」掲載(令和4年5月9日)(2022-12-23)

Real-world clinical outcomes of treatment with casirivimab-imdevimab among patients with mild-to-moderate coronavirus disease 2019 during the Delta variant pandemic

デルタ株蔓延期におけるCOVID-19患者に対するカシリビマブ/イムデビマブの有効性の検討

鈴木 康仁 (すずき・やすひと)
医学部 呼吸器内科学講座 助教
        
研究グループ
鈴木康仁,柴田陽光,峯村浩之,二階堂雄文,谷野功典,福原敦朗,李智祥,佐藤理子,山田龍輝,大沼巧,冨田ひかる,齋藤美加子,渡邊菜摘,河俣貴也,力丸真美,森本樹里亜,東川隆一,佐藤佑樹,斎藤純平,金沢賢也
福島県立医科大学呼吸器内科学講座

概要

論文掲載雑誌:「International Journal of Medical Sciences」(令和4年5月9日)


 COVID-19は変異を繰り返し,開発された治療薬の有効性に変化をもたらしており,デルタ株出現前に開発された治療薬が,変異株流行期でも有効であるという検証が必要である.福島県の医療施設に入院したCOVID-19患者のデータベースより2021年7月から同年9月末までのデータを抽出し,中和抗体薬であるカシリビマブ/イムデビマブ(C&I)の効果を検証した.対象は軽症から中等症のCOVID-19患者949名で,C&I投与群(314名)と非投与群(635名)の転帰を比較した.その結果,C&I非投与は入院後増悪の独立危険因子であった(OR 0.448; 95%C.I. 0.263–0.763).その他,43歳以上,COVID-19ワクチン2回未接種,脂質異常症も入院後増悪の独立危険因子であった.さらに傾向スコアマッチさせた集団による解析でも,C&I投与群は非投与群よりも入院後の増悪が有意に少なかった(7.7% vs 14.0%; P = 0.021).

 以上より,デルタ株蔓延期のCOVID-19に対するC&Iの有効性が,日本人を対象としたリアルワールドデータから証明された.


連絡先

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