
- 門馬 智之(もんま・ともゆき)
- 福島県立医科大学 医学部 消化管外科学講座 准教授

- 岡山 洋和(おかやま・ひろかず)
- 福島県立医科大学 医学部 消化管外科学講座 講師

- 河野 浩二(こうの・こうじ)
- 福島県立医科大学 医学部 消化管外科学講座 主任教授
- 研究グループ
- Tomoyuki Momma、Hirokazu Okayama、Yasuyuki Kanke、Satoshi Fukai、Hisashi Onozawa、Shotaro Fujita、Wataru Sakamoto、Motonobu Saito、Shinji Ohki、Koji Kono
概要
論文掲載雑誌「Cancers(Basel)」(令和3年9月16日)
局所進行直腸癌に対する術前放射線化学療法(nCRT)は広く用いられているが、その効果は患者によって著しく異なる。nCRTに対する反応性が事前に予測できれば、直腸癌の個別的な治療戦略の確立に大きく寄与することが期待される。本研究は、治療前の直腸癌生検サンプルに対する網羅的遺伝子発現解析を基盤として、遺伝子発現に基づくnCRTの効果予測バイオマーカーの作成および検証を目的としている。まず、3つの直腸癌コホートを用いてnCRT効果に関連する遺伝子群をスクリーニングし、BRCA1、GPR110、TNIK、WDR4から成る独自の4遺伝子シグネチャーを作成した。続いて、我々の4遺伝子シグネチャーに加え、過去に論文報告された9つの遺伝子シグネチャーについて、独立した6つの直腸癌コホートを用いたメタアナリシスによりその有用性の検証を試みたものの、いずれもnCRTの効果予測における意義は否定的であった。本研究では計237例のnCRT不応性の患者および計152例のnCRTに反応性の患者の生検サンプルを用いており、遺伝子発現に基づく直腸癌nCRT効果予測の検討としては過去最大規模の解析である。しかしながら、既存の手法を用いたいずれの遺伝子シグネチャーも再現性のあるnCRT効果予測には至らず、今後は新規の技術や異なる方法論を用いた効果予測バイオマーカーの確立が望まれる。
連絡先
公立大学法人福島県立医科大学 医学部 消化管外科学講座
電話:024-547-1111(代)
FAX:024-547-1980
講座ホームページ:http://www.gi-t-surg.com/
メールアドレス:gi-tsurg@fmu.ac.jp