- 佐藤 悠 (さとう・ゆう)
- 循環器内科学講座 助教
- 研究グループ
- 佐藤 悠、義久 精臣、菅原 由紀子、三阪 智史、佐藤 崇匡、金城 貴士、及川 雅啓、小林 淳、八巻 尚洋、中里 和彦、竹石 恭知
概要
論文掲載雑誌:「Scientific Reports」(August 25, 2024)
栄養障害は心不全患者に高頻度に認められる合併症の一つです。小児において栄養障害の表現型はマラスムスとクワシオルコルに大別されます。一方で成人心不全患者における栄養障害の表現型の臨床的意義は明らかではありませんでした。本研究では2,308名の心不全患者のデータを収集し、マラスムス型(BMI 18.5 kg/m2未満と定義)とクワシオルコル型(血性アルブミン3.4 g/dL未満と定義)の有無により4群に分類しました(栄養障害のないC群65.5%、マラスムス型のみのM群5.8%、クワシオルコル型のみのK群24.0%、マラスムス型およびクワシオルコル型両方を示すMK群4.8%)。4群の臨床的特徴および予後に関して比較検討しました。M群は血圧が低値であり、血液検査ではK群とMK群はうっ血の指標であるBNP値が高値でした。心臓カテーテル検査では右房圧はM群とMK群にて低値でした。退院後の予後はMK群が最も不良であり、多変量Cox比例ハザード解析ではC群に比べてM、K、MK群は高い死亡リスクと関連していました(それぞれハザード比 1.790、1.657、2.313倍)。以上から成人心不全患者においてマラスムス型とクワシオルコル型栄養障害は異なる臨床的特徴を示し、また両方の栄養障害の合併は最も予後不良であることが示されました。心不全患者における栄養障害の分類は背景にある病態生理の理解と治療法の選択に有用である可能性が示唆されました。(佐藤 悠)
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