福島県立医科大学 研究成果情報

米国雑誌「American Journal of Kidney Diseases」掲載(令和6年6月12日)(2024-06-20)

Frailty and duration of maintenance dialysis: A Japanese nationwide cross-sectional study

透析の治療期間とフレイルの関係性:日本全国の分析的横断研究

栗田 宜明 (くりた・のりあき)
大学院医学研究科臨床疫学分野 特任教授
        
研究グループ
山本卓(新潟大学医歯学総合病院血液浄化療法部)、戸井田達典・新畑覚也・栗田宜明(福島県立医科大学大学院医学研究科臨床疫学分野)、花房規男(東京女子医科大学医学部血液浄化療法科)、阿部雅紀(日本大学医学部腎臓高血圧内分泌内科学分野)

概要

論文掲載雑誌:「American Journal of Kidney Diseases」(June 12, 2024)


日本透析医学会統計調査データベースのデータを解析し、透析患者の透析期間が長期化するとフレイル・寝たきりの頻度が高くなることを発見しました。

フレイル・寝たきりとなり、通院や日常生活が制限されている方が多くいます。近年、日本では透析期間30年以上の超長期透析患者が増加する傾向にありますが、それらの臨床的な特徴は明らかではありませんでした。

そこで、日本透析医学会統計調査データベースから2018年のデータを横断的に解析しました。当時50歳以上の透析患者は227,136名でそのうち透析歴30年以上の症例は5,510名(2.4%)でした。

解析の結果、年齢の影響とは別に、透析期間が長くなるほど、フレイルあるいは寝たきりの有病率が増加することが明らかとなりました(下図)。

このことは、現在の透析療法では対応できていないフレイル・寝たきりの原因が残っている可能性を示唆しており、未発見の課題があると考えられます。

今後、どのような背景因子が長期透析患者のフレイル・寝たきりの発症に関連するかということを明らかにする縦断研究が必要です。透析療法の問題点を明らかにし、解決することで、将来、透析療法を長期間継続しても慢性腎臓病患者の身体機能が保たれる医療が提供されることにつなげるための、さらなる研究が期待されます。(栗田 宜明)


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