福島県立医科大学 研究成果情報

第65回日本リウマチ学会総会・学術集会 JCR2021国際ワークショップ優秀演題賞(JCR 2021 ICW Excellent Abstract Award)(令和3年4月受賞)(2021-07-13)

Role of T cell immunoglobulin and mucin domain-3 (TIM-3) in determining clinical phenotype of RA

関節リウマチの活動性及び進行性関節障害とTIM-3との関係

松本 聖生 (まつもと・はるき)
医学部 リウマチ膠原病内科学講座 専攻医
        
研究グループ
松本聖生, 藤田雄也, 浅野智之, 松岡直紀, 天目純平, 佐藤秀三, 古谷牧子, 渡辺浩志, 右田清志

今回の受賞について

第65回日本リウマチ学会総会・学術集会


日本リウマチ学会はリウマチ性疾患の研究, 診療内容の向上を推進することを目的に活動している学会です。日本リウマチ学会総会・学術集会は年1回行われ, 全国からリウマチ性疾患に携わる医療従事者が集まる全国規模の集会になります。

賞について


International Concurrent Workshop (ICW)は日本リウマチ学会の国際化推進のために設けられた英語セッションで, JCR2021国際ワークショップ優秀演題賞(JCR 2021 ICW Excellent Abstract Award)はICWとして登録された演題の中から, 45歳未満の投稿者を対象として優秀な演題に送られる国際委員会選出によるAwardです。

概要

T cell immunoglobulin and mucin domain-3 (TIM-3)は免疫細胞の表面に発現する分子構造であり, Galectin-9(Gal-9)を介することで免疫抑制の一助を担うことが知られています。これらは関節リウマチ(RA)の疾患活動性に関与している可能性があり, TIM-3そのものがRAの新しい疾患活動性の指標となり得ます。

血液中で検出される可溶性TIM-3(sTIM-3)が関節リウマチ(RA)患者で上昇するのか, また, RAの臨床的特徴とsTIM-3との関連について検討しました。

当院で受診歴のあるRA 患者116名と健常被験者27名を対象としました。血液中のsTIM-3を測定し, 抗CCP抗体, 赤沈, MMP-3との相関を検討しました。

sTIM-3は健常被験者と比較してRA患者で顕著に上昇しており, 抗CCP抗体, 赤沈, MMP-3と正の相関を認めました。RA患者において, 抗CCP抗体価 ≧ 200 U/mLの郡ではsTIM-3と赤沈もしくはMMP-3の間に相関はありませんでしたが, sTIM-3と抗CCP抗体に正の相関がありました。一方, 抗CCP抗体価 < 200 U/mLの郡ではsTIM-3と赤沈もしくはMMP-3の正の相関があり, sTIM-3と抗CCP抗体に相関はありませんでした。以上より, 抗CCP抗体価 < 200 U/mLの群では自然免疫系が主体であり, 抗CCP抗体価格 ≧ 200 U/mLの群では獲得免疫系が主体である可能性が示唆されました。また, 進行したRA患者では早期RA患者よりも有意にsTIM-3が上昇していることがわかりました。

今回の研究で, sTIM-3がRAの疾患活動性や進行度, 薬剤選択の有用なバイオマーカーとなりうることが示唆されました。


関連サイト

連絡先

公立大学法人福島県立医科大学 医学部 リウマチ膠原病内科学講座
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