福島県立医科大学 研究成果情報

英国雑誌「Arthritis Research & Therapy(4月号)」掲載(令和3年4月26日)(2021-06-24)

Cold-inducible RNA-binding protein (CIRP) potentiates uric acid-induced IL-1β production

Cold-inducible RNA-binding protein (CIRP)は尿酸を介したIL-1β産生を誘導する

藤田 雄也 (ふじた・ゆうや)
医学部 リウマチ膠原病内科学講座 助手
        
研究グループ
藤田雄也1、八子徹1、松本聖生1、天目純平1、古谷牧子1
松岡直紀1、浅野智之1、佐藤秀三1、渡辺浩志1、川上純2、右田清志1
1 福島県立医科大学医学部 リウマチ膠原病内科学講座
2 長崎大学医歯薬学総合研究科先進予防医学共同専攻
                   リウマチ膠原病内科分野

概要

論文掲載雑誌:「Arthritis Research & Therapy(4月号)」(令和3年4月26日)


 Cold-inducible RNA-binding protein (CIRP)は組織ストレスや細胞の損傷などによって誘導される分子であり、細胞外へ放出されたextracellular CIRPはダメージ関連分子パターン(DAMPs)として作用します。Sepsisや関節リウマチなどの炎症性病態との関連がすでに指摘されています。

また、IL-1βなどの炎症性サイトカインの産生には炎症性サイトカインの前駆物質であるpro- IL-1βやNLRP3を転写・翻訳するpriming stepとNLRP3 inflammasomeの活性化とCaspase-1を介して前駆物質を切断しIL-1βを産生するactivation stepの2つのステップが必要であることが知られています。

今回、我々はCIRPが炎症性サイトカイン産生のどのシグナルに関わっているのかヒト好中球を用いて検討しました。Recombinant CIRPで前処置をすると、Pro-IL-1βとNLRP3の発現が亢進することがわかりました。しかし、CIRP単独ではIL-1βは産生されず、CIRPで前処置後に尿酸結晶(MSU)で刺激を行うことで、IL-1βの産生が誘導されました。さらに、NLRP3 Inflammasome阻害薬(MCC950)で処置をすると、CIRP+MSUで誘導されるIL-1βの産生が阻害されました。MSUは炎症性サイトカイン産生のactivation stepにのみ関与することがすでに報告されています。そのため、本研究結果より、CIRPは炎症性サイトカイン産生のpriming stepに関与していることが明らかとなりました。今後はCIRPと自己炎症性疾患との関わりなどについて、さらに研究を行っていく予定です。


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