福島県立医科大学 研究成果情報

米国心臓病学会雑誌「Circulation: Arrhythmia and Electrophysiology」掲載(令和3年6月11日)(2021-06-22)

Significance of contact force on esophageal thermal injury during relative high-power short-duration ablation of atrial fibrillation

心房細動に対する高出力・短時間アブレーションにおける、食道熱傷害へのコンタクトフォースの重要性について

金城 貴士 (かねしろ・たかし)
医学部 循環器内科学講座 心臓調律制御医学講座 准教授
        
研究グループ
金城 貴士1,2、天海 一明1、肱岡 奈保子1、野寺 穣1、山田 慎哉1
横川 哲郎1、三阪 智史1、引地 拓人3、義久 精臣1、竹石 恭知1,2
1循環器内科学講座、2心臓調律制御医学講座、3内視鏡診療部

概要

論文掲載雑誌:「Circulation: Arrhythmia and Electrophysiology」(令和3年6月11日)


 心房細動に対するカテーテルアブレーションにおいて、高出力・短時間焼灼法は、従来の低出力・長時間焼灼に比較し周辺臓器傷害を低減しうることが示されている。特に、食道への熱傷害(ETI:食道粘膜障害および食道神経叢傷害による胃蠕動運動低下)は、高い致死率の左房食道瘻へ移行するリスクがあり、十分な注意が必要である。これまで我々は、高出力・短時間焼灼により食道への熱傷害は増加傾向を示すものの、食道粘膜層に達する深い熱傷害は低減させうることを明らかにした。しかし、焼灼指標のうち、どの指標がETI発症に最も寄与するかは明らかになっていない。
 心房細動に対して、高出力・短時間焼灼で施行した163例を対象に、ETIの発生頻度と食道に重複する焼灼部位の焼灼指標を比較・検討した。全例で術2日後に上部消化管内視鏡を施行した結果、44例(23%)でETIを認めた。ETIを認めた群では、食道重複部位における焼灼指標のうち、カテーテル先端の平均接触強度(コンタクトフォース: CF)が有意に高く(14.8 g vs. 11.6 g, P < 0.001)、平均コンタクトフォース < 10 gであった症例は有意に少なく(11% vs. 32%, P = 0.008)、> 20gであった症例は有意に多かった(25% vs. 5%, P < 0.001)。
 高出力・短時間焼灼によるETIの発症には、焼灼指標のうちCFが最も影響があることが明らかとなった。


連絡先

公立大学法人福島県立医科大学 循環器内科学講座
電話:024-547-1190

FAX:024-548-1821
講座ホームページ: https://www.fmu.ac.jp/home/int-med1/intmed1main.htm

メールアドレス:tk2435@fmu.ac.jp(スパムメール防止のため、一部全角表記しています)