福島県立医科大学 研究成果情報

米国雑誌「The Journal of Immunology」掲載(令和元年6月1日)(2019-06-05)

Runx1 and RORgt cooperate to upregulate IL-22 expression in Th cells through its distal enhancer

Runx1とRORgtは協調して遠位エンハンサーへの結合を通してヘルパーT細胞でのIL-22の発現を増強している

関亦 正幸 (せきまた・まさゆき)
医学部 附属放射性同位元素研究施設 准教授
        
研究グループ
関亦正幸1)、吉田大貴1)、荒木明美2)、浅尾裕信2)、伊関憲3)、関亦明子4)
1)福島県立医科大学医学部放射性同位元素研究施設
2)山形大学医学部免疫学講座
3)福島県立医科大学医学部救急医療学講座
4)山形大学医学部看護学科感染防御・遺伝科学研究室

概要

米国雑誌「The Journal of Immunology」(令和元年6月1日)


ヘルパーT(Th)細胞が産生する炎症性サイトカインのインターロイキン22(IL-22)は、上皮での感染防御に重要な役割を果たしています。しかしその過剰産生は、炎症性腸疾患、乾癬、喘息などの免疫疾患の一因となることから、IL-22の転写調節に関わる機構の解明が求められていました。我々はバイオインフォマティクスを駆使して、膨大なゲノムDNA領域の中からIL-22の発現増強に関わるエンハンサーを特定し、白血病関連転写因子Runx1とTh17細胞マスター転写因子RORgtが協調してこの領域に結合することでIL-22の発現増強に関わることを解明しました。Runx1とRORgtはIL-22エンハンサーに結合することで、この領域のDNA脱メチル化とヒストンアセチル化のエピジェネティクスを変化させ、本来遠位にあるエンハンサーとIL-22プロモーターとの直接相互作用を可能にするクロマチン構造変換を制御していることを突き止めました。この成果は、免疫細胞が環境に対応してクロマチン構造変換することで免疫応答を調節していることを明らかにしたものであり、この可逆的なクロマチン構造変換を人為的に制御できる可能性があり、免疫疾患の新たな治療法の開発につながると期待できます。


連絡先

公立大学法人福島県立医科大学 医学部附属放射性同位元素研究施設

電話:(024)547−1673/FAX:(024)548−3075
講座ホームページ:https://www.fmu.ac.jp/cms/ricenter/index.html

メールアドレス:matam@fmu.ac.jp(スパムメール防止のため、一部全角表記しています)