福島県立医科大学 研究成果情報

英国雑誌「Scientific reports」掲載(2019年10月30日 オンライン)(2019-11-26)

Late Gadolinium Enhancement Predicts Improvement in Global Longitudinal Strain after Aortic Valve Replacement in Aortic Stenosis

ガドリニウム遅延造影検査は大動脈弁狭窄症における大動脈弁置換術後の左室収縮能改善を予測する

藤宮 剛(ふじみや・つよし)
医学部 心臓血管外科学講座 助教

高野 真澄(たかの・ますみ)
医学部 心臓血管外科学講座 併任講師

五十嵐 崇(いがらし・たかし)
医学部 心臓血管外科学講座 助教

横山 斉(よこやま・ひとし)
医学部 心臓血管外科学講座 教授

        
研究グループ
藤宮 剛、高野 真澄、五十嵐 崇、新城 宏治、石田 圭一、高瀬 信弥、横山 斉

概要

論文掲載雑誌:「Scientific reports」(2019年10月30日)


 重症大動脈弁狭窄症では、左室壁への持続的な圧負荷により生じた心筋の線維化により、左室収縮能低下・心不全が引き起こされるため、大動脈弁置換術によって心筋への負荷を解除する。一方、左室心筋の線維化は、病初期は可逆性であるが、病期の進行に伴って不可逆的になり、大動脈弁置換術施行後も左室機能が徐々に低下し、心不全をきたすことが問題となっている。したがって、手術後に心不全をきたさない、心筋線維化が可逆的であるような適切な手術の時期を見極めることが重要である。

 今回我々は、左室線維化をガドリニウム遅延造影(LGE)MRIにより定量評価し、左室収縮能を心エコー図法による鋭敏な指標であるglobal longitudinal strain (GLS)を用いて評価した。術前の左室線維化指標(LGE)により、術後1年後の左室収縮能(GLS)改善を予測できるかどうか、検討した。

 本研究の結果から、重症大脈弁狭窄症患者において、左室収縮能が著明に低下する前からGLSは低下していること、また大動脈弁置換術前のLGE指標が術後1年のGLSの改善を予測可能であることを示した。LGEは、大動脈弁置換術後の慢性期左室収縮能改善の有用な予測因子であり、至適手術時期決定の一助になることが示された。


連絡先

 公立大学法人福島県立医科大学 医学部 心臓血管外科学講座 藤宮 剛、高野 真澄
 電話:024-547-1281

 FAX:024-548-3926

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