福島県立医科大学 研究成果情報

第26回日本排尿機能学会学会賞 発表部門:臨床研究(令和元年9月13日受賞)(2019-10-18)

ADLの自立した健康高齢者における過活動膀胱罹患指標としての身体的フレイル測定の意義:地域住民の健康医療データベースを用いた分析的横断研究

大前 憲史 (おおまえ・けんじ)
医学部 臨床研究教育推進部/臨床研究イノベーションセンター兼任 副部長
        
研究グループ
大前 憲史・竹島 太郎・長沼 透・高橋 世・大西 剛史・伊藤 文人・吉岡 貴史・福原 俊一
(福島県立医科大学臨床研究イノベーションセンター)
栗田 宜明(福島県立医科大学大学院医学研究科 臨床疫学分野)
赤井畑 秀則・小島 祥敬(福島県立医科大学医学部 泌尿器科学講座)
大槻 和之(福島県須賀川市)

今回の受賞について

日本排尿機能学会


日本排尿機能学会(The Japanese Continence Society)は昭和48年(1973年)に発足した神経因性膀胱研究会を前身とする学会で、尿失禁や過活動膀胱、前立腺肥大症といった排尿に関わる専門家の育成やガイドラインの策定などの幅広い活動が行われています。泌尿器科だけでなく、神経内科、産婦人科、リハビリ科、看護学科、生理学、薬理学、薬学など様々な領域のエキスパートが参画し、平成30年12月末時点で1,685名の会員が在籍しています。

日本排尿機能学会賞


平成15年度より学会賞が設けられており、毎年論文部門で1名、発表部門で基礎・臨床分野から各1名の最優秀者が選ばれ表彰されます。

概要

本研究は、かねてより当センターが福島県須賀川市とともに取り組んでいる須賀川健康長寿推進事業において得られた住民の健康医療データを分析したものです。

平成29年に健診を受診された後期高齢者314名(平均年齢80歳)を対象に、BMI・筋力・筋肉量・歩行速度と過活動膀胱との関連を調べました。88名(28%)が過活動膀胱の診断を満たし、57名(18%)は中等症~重症に分類されました。解析の結果、過体重(BMI≧25)と遅い歩行速度は過活動膀胱の有病と有意に関連していました。さらに、歩行速度のみ尿意切迫感および切迫性尿失禁とも関連を認めました。また、遅い歩行速度は過体重とともにより重症な過活動膀胱の罹患とも関連していました。

本研究結果から、BMIや歩行速度に着目することは地域で行う過活動膀胱の予防や早期発見に有用であると考えられました。

上記の研究成果をもって、第26回日本排尿機能学会において学会賞が授与されました。

本研究発表はメディカルトリビューンの一般向けサイト「あなたの健康百科」において記事としても掲載されています。

☞「歩行速度が遅いほど過活動膀胱の人が多い」(あなたの健康百科 byメディカルトリビューン) https://kenko100.jp/articles/190919004936/#gsc.tab=0

 また、研究の詳細は既に論文報告されており、そちらもご参照いただければと思います。

☞K. Omae. et al. Gait speed and overactive bladder in the healthy community-dwelling super elderly: The Sukagawa Study. Neurourol Urodyn. 2019 Aug 22. doi: 10.1002/nau.24148. [Epub ahead of print]


関連サイト

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