福島県立医科大学 研究成果情報

米国雑誌「Medicine」掲載(2019年)(2019-09-27)

Galectin-9 in autoimmune hepatitis: Correlation between serum levels of galectin-9 and M2BPGi in patients with autoimmune hepatitis.

自己免疫性肝炎における血清galectin-9とM2BPGi

松岡 直紀 (まつおか・なおき)
医学部 リウマチ膠原病内科学講座 助手
        
研究グループ
Naoki Matsuoka, Yuya Fujita, Junpei Tenmoku, Tomoyuki Asano, Shuzo Sato, Makiko Furuya, Hiroko Kobayashi, Hiroshi Watanabe, Atsushi Takahashi, Hiromasa Ohira, Kiyoshi Migita

概要

論文掲載雑誌:「Medicine」(2019)


Galectinは細胞表面に存在する糖鎖を認識し、結合するレクチン蛋白であり、その中でもGalectin-9はTim-3に直接結合することでTh1、Th17の反応を抑制するとともに、細胞内アポトーシスを誘導します。

Galectin-9はいくつかの自己免疫疾患の病態に関与することが知られており、自己免疫性肝炎(AIH)においては慢性炎症と線維化、癌化のプロセスに関与することが分かっています。

他の自己免疫性疾患である全身性エリテマトーデスでは、Galectin-9はinterferon signatureを反映するbiomarkerと成り得ることが示されており、今回我々はAIHにおけるGalectin-9のbiomarkerとしての測定の意義を探索しました。さらに、慢性肝炎における肝線維化markerとして知られているM2BPGiとの関連についても調べました。

検証の結果、AIH患者においては慢性C型肝炎患者や健常者に比べ、有意に血清Galectin-9が高値であることが分かりました。また、AIH患者間において、fibrosis stageと血清Galectin-9との間に相関は認めませんでしたが、血清Galectin-9とM2BPGiの間には相関が認められました。さらに、肝炎活動性指標と血清Galectin-9の間で相関を認めました。また、ステロイド治療後にAIH患者における血清Galectin-9は有意に低下することが示されました。以上の結果よりGalectin-9の測定がAIH患者における肝臓の炎症を反映する重要なbiomarkerと成り得る可能性が示唆されました。


連絡先

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