- 松岡 直紀 (まつおか・なおき)
- 医学部 リウマチ膠原病内科学講座 助手
- 研究グループ
- Naoki Matsuoka, Yuya Fujita, Junpei Tenmoku, Tomoyuki Asano, Shuzo Sato, Makiko Furuya, Hiroko Kobayashi, Hiroshi Watanabe, Atsushi Takahashi, Hiromasa Ohira, Kiyoshi Migita
概要
論文掲載雑誌:「Medicine」(2019)
Galectinは細胞表面に存在する糖鎖を認識し、結合するレクチン蛋白であり、その中でもGalectin-9はTim-3に直接結合することでTh1、Th17の反応を抑制するとともに、細胞内アポトーシスを誘導します。
Galectin-9はいくつかの自己免疫疾患の病態に関与することが知られており、自己免疫性肝炎(AIH)においては慢性炎症と線維化、癌化のプロセスに関与することが分かっています。
他の自己免疫性疾患である全身性エリテマトーデスでは、Galectin-9はinterferon signatureを反映するbiomarkerと成り得ることが示されており、今回我々はAIHにおけるGalectin-9のbiomarkerとしての測定の意義を探索しました。さらに、慢性肝炎における肝線維化markerとして知られているM2BPGiとの関連についても調べました。
検証の結果、AIH患者においては慢性C型肝炎患者や健常者に比べ、有意に血清Galectin-9が高値であることが分かりました。また、AIH患者間において、fibrosis stageと血清Galectin-9との間に相関は認めませんでしたが、血清Galectin-9とM2BPGiの間には相関が認められました。さらに、肝炎活動性指標と血清Galectin-9の間で相関を認めました。また、ステロイド治療後にAIH患者における血清Galectin-9は有意に低下することが示されました。以上の結果よりGalectin-9の測定がAIH患者における肝臓の炎症を反映する重要なbiomarkerと成り得る可能性が示唆されました。
連絡先
公立大学法人福島県立医科大学 医学部 リウマチ膠原病内科学講座
電話:024-547-1111(代)
FAX:024-547-1172
メールアドレス:naoki-11@fmu.ac.jp(スパムメール防止のため、一部全角表記しています)