- 樋口 光徳 (ひぐち・みつのり)
- 会津医療センター 外科学講座(呼吸器外科) 准教授
- 研究グループ
- 樋口光徳1、渡部晶之2、井上卓哉2、山浦匠2、鈴木朋子3、齋藤美和子3、新妻一直3、遠藤浩太郎4、押部郁朗4、添田暢俊4、齋藤拓朗4、北條洋5、棟方充3、鈴木弘行2
1会津医療センター外科学講座(呼吸器外科)
2医学部呼吸器外科学講座
3会津医療センター感染症・呼吸器内科学講座
4会津医療センター外科学講座(外科)
5会津医療センター臨床医学部門(病理診断科)
概要
論文掲載雑誌:「Oncotarget」(2019年11月号)
微小肺髄膜細胞様結節(minute pulmonary meningothelial-like nodule, MPMN)は切除肺の肺胞領域で偶発的に認められることがある比較的稀な良性疾患であるが、その発生機序や病理学的特徴については不明な点が多い。 2016年10月以降に当院で経験したMPMN 2例と中枢神経発生の髄膜腫2例の検体を用いて、NF-2遺伝子変異をfluorescence in situ hybridization (FISH)法で検索した。変異陽性の判断基準は、NF-2 signalが50%以上の核で変化を認めるものとした。MPMN 2例いずれにおいても50%以上のNF-2遺伝子欠失を認めた。髄膜腫症例では1例で50%以上のNF-2遺伝子欠失を認めたが、他の1例では15%の欠失であり陰性と判断した。髄膜腫症例においては、全例でNF-2遺伝子変異を認めるわけではなく、これまでの報告と比較して矛盾する結果ではなかった。神経線維腫症II型でも22番染色体異常が原因とされているが、対象症例では診断基準を満たす症例はいなかった。今回の結果より、MPMNと中枢神経発生の髄膜腫との共通の遺伝子異常が確認できた。この共通性は両疾患の発生要因が同じメカニズムによると推定され、大変興味深い。この稀有な症例を蓄積して更なる詳細な検討が望まれる。
連絡先
公立大学法人福島県立医科大学会津医療センター 呼吸器外科
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