福島県立医科大学 研究成果情報

スイス科学誌「International Journal of Environmental Research and Public Health」(平成30年7月)(2018-12-26)

Risk Factor for Incident Functional Disability and the Effect of a Preventive Exercise Program: A 4-Year Prospective Cohort Study of Older Survivors from the Great East Japan Earthquake and Nuclear Disaster.

東日本大震災後の要介護認定のリスク要因の検討と運動教室の介入効果

黒田 佑次郎 (くろだ・ゆうじろう)
医学部 公衆衛生学講座 学内講師
        
研究グループ
黒田 佑次郎、岩佐 一、大類 真嗣、森山 信彰、Claudia Kimie Suemoto、八代 千賀子、松田 久美子、安村 誠司

概要

 東日本大震災後に、影響のあった地域を中心に要介護認定が増加し、身体機能の低下や精神的な健康状態が要介護発生リスクに関連することがわかっています。本研究では、福島県内において、避難を経験した自治体と共同で、震災後の要介護認定の推移とその要因を調べるとともに、各仮設住宅で実施した運動教室の介入効果を検討しました。結果として、震災前の身体機能の低下、認知機能の低下、そして抑うつ状態であることが、より震災後の要介護認定発生のリスクであることがわかりました。また、震災後の運動教室に定期的に参加していることは、要介護認定発生に保護的に働くことがわかりました。震災後の要介護認定の増加には、個人の身体機能の低下のみならず、その個人を地域で支えられなくなった社会的な要因も考えられ、この状況を支えるための運動教室は一定の効果をもたらしたと考えられます。そのため、運動教室のような取り組みを増やすことで、住民同士の交流を促進していくことが重要と考えられました。


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