福島県立医科大学 研究成果情報

日本放射線影響学会第61回大会[長崎] 若手優秀演題発表賞(平成30年11月受賞)(2018-12-03)

-Analysis of the number of chromosome aberrations induced by threeconsecutive CT examinations-

継続する3回のCT検査による染色体異常形成数の解析

阿部 悠 (あべ・ゆう)
医学部 放射線生命科学講座 助教
        
研究グループ
阿部悠1,野地秀義2,菅井美咲1,黒須由美子3,津山尚宏1,柳亜希1,柳井由佳里1,大葉隆4,石川徹夫3,5,三浦富智6,神谷研二3,7,吉田光明8,坂井晃1,3
1 福島県立医科大学医学部放射線生命科学講座
2 福島県立医科大学医学部腫瘍内科学講座
3 福島県立医科大学放射線医学県民健康管理センター
4 福島県立医科大学医学部放射線健康管理学講座
5 福島県立医科大学医学部放射線物理化学講座
6 弘前大学大学院保健学研究科
7 広島大学原爆放射線医科学研究所
8 弘前大学被ばく医療総合研究所

今回の受賞について

日本放射線影響学会


昭和29年太平洋ビキニ環礁において米国により実施された水爆実験で被災した第五福竜丸事件を契機に設立された学会であり,放射線の環境と人体に与える影響を物理・化学・工学・生物学・医学といった分野横断的研究者により多角的な研究成果について発表が行われる学会です。

賞について


40歳未満の一般口演発表者を対象に,優秀な演題に対して優秀演題発表賞を選出し表彰しています。

概要

日本は世界でも有数のCT大国であり,保有台数,検査頻度は先進国の中でも群を抜いています。最近の疫学研究でCT検査による被ばくと発がんとの関連性が疑われていますが,分子生物学的な研究はこれまでほとんどありませんでした。

我々は以前,1回のCT検査による被ばくで不安定型染色体異常である二動原体染色体(Dic)頻度が増加するものの,安定型染色体異常である転座は統計的に有意な変化が認められないことを報告しました。今回の研究では複数回のCT検査によって染色体異常が蓄積するのか否か明らかにするため,CT検査を年に1回受診する患者を対象に,約3~4年に亘って追跡調査を行いました。通常の線量評価における倍の細胞数を解析した結果,Dicも転座も複数回のCT検査による染色体異常の蓄積は認められませんでした。

今回の受賞はその業績が評価されたものであり,研究内容の詳細については放射線生命科学講座HPで公表予定です。


関連サイト

連絡先

 公立大学法人福島県立医科大学 医学部 放射線生命科学講座

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