dMMR/MSI-H大腸癌におけるTGF-β依存性間質型サブタイプの同定

今回の受賞について

第56回日本癌治療学会学術集会

　日本癌治療学会学術集会は、医師、歯科医師、薬剤師、看護師など会員総数17,000を超え、日本における癌の予防、診断および治療に関わる調査・研究などを行っている本邦最大の領域・職種横断的がん関連学術団体です。第56回は「調和と融合による次世代癌治療」というメインテーマのもと開催されました。

最優秀演題賞・優秀演題賞

　一般演題の中から厳正な審査の上で選定されます。昨年は発表された1470演題のうち、48題が優秀演題に選出され、更に優秀演題の中から8題の最優秀演題が選出されました。

概要

当研究室では、大腸癌の「癌細胞」のみでなく、癌細胞の周囲を取り巻く「腫瘍微小環境」の重要性にも着目し研究を行っています。腫瘍微小環境には線維芽細胞、血管内皮細胞、リンパ球やマクロファージなどの免疫細胞などが含まれます。今回、大規模な遺伝子発現解析により、これまで単一の群とされていたdMMR/MSI-Hと言われる大腸癌のなかに、TGF-βシグナル依存性の間質活性化を示すサブタイプを同定しました。同タイプは著しく予後不良ですが、免疫チェックポイント阻害剤、TGF-β阻害剤が有効な可能性があり、今後の個別的な複合免疫療法への応用を強く示唆するものです。