福島県立医科大学 研究成果情報

第53回日本小児腎臓病学会学術集会 最優秀演題奨励賞(平成30年6月受賞)(2018-08-20)

重症HUSモデルマウスの発症病態におけるHMGB1の関与とその制御

前田 亮 (まえだ・りょう)
医学部 小児科学講座 助手
        
研究グループ
前田 亮、陶山 和秀、川崎 幸彦、細矢 光亮

今回の受賞について

第53回日本小児腎臓病学会学術集会


 一般社団法人日本小児腎臓病学会は小児腎臓病に関する研究と小児腎臓病医療の進歩・発展を推進し、会員相互の連絡、内外の関連機関との連絡を図ることを目的とし、1967年に設立された学会です。総会は小児腎臓病学の臨床、研究の分野で活躍するエキスパートが毎年一堂に会する学術集会です。

賞について


 学術集会での優秀発表に対して発表審査委員会の評価により奨励賞3部門(臨床部門、基礎・遺伝子部門、症例報告部門)が授与されます。今年の授賞式は第53回日本小児腎臓病学会学術集会(福島市)において行われました。

概要

 典型的溶血性尿毒症症候群(tHUS)は腸管出血性大腸菌による急性腎障害をきたす、未だ治療法の定まっていない疾患です。発症メカニズムには自然免疫と呼ばれる免疫応答の関与が推測されていますが、それに関する報告はほとんどありません。

 そこで今回私たちは自然免疫における代表的な分子群であるHMGB1に着目し、tHUSにおける役割を検討すべく、tHUSモデルマウスへ抗HMGB1中和抗体を投与しHMGB1の関与を評価しました。

 中和抗体の投与の有無でtHUSモデルマウスは生存率、血中HMGB1濃度、血中サイトカイン、腎組織所見、HMGB1に関わる分子の遺伝子発現などの改善を認め、発症病態にHMGB1の関与が確認されました。投与方法などさらなる検討を重ねれば、HMGB1を制御することでヒトにおいてもtHUSの重症化を抑制できる可能性が考えられるため、今回の検討は有用なものであると考えられます。

(前田 亮)

 

 


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