福島県立医科大学 研究成果情報

日本母性衛生学会 学術論文優秀賞〔平成29年10月受賞〕(2017-10-06)

東京電力福島第一原子力発電所事故後の電話要支援者の特徴と電話相談内容
-平成23年度福島県県民健康調査・妊産婦に関する調査を用いて-

石井 佳世子 (いしい・かよこ)
放射線医学県民健康管理センター 助手
        
研究グループ
放射線医学県民健康管理センター 妊産婦調査室グループ
(石井佳世子、後藤あや、太田 操、安村誠司、藤森敬也)

今回の受賞について

【 日本母性衛生学会 】
すべての女性の健康を守り、母性を健全に発達させ、母性機能を円滑に遂行させるために、母性衛生に関する研究、知識の普及、関係事業の発展をはかり、もって人類の福祉に寄与することを目的とし、学術集会の開催、機関誌の刊行、母性保健事業に対する援助、関係諸団体との連絡及び提携、学術優秀賞及び学術奨励賞を授与等の事業を行っている学会です。
【 賞について 】
機関誌「母性衛生」(1年に4号発刊)に掲載されたすべての原著論文を対象に、毎年学術論文優秀賞ならびに学術奨励賞を選考しています。

概要

福島県立医科大学放射線医学県民健康管理センターでは、県民健康調査「妊産婦に関する調査」を平成23年度から開始し、支援が必要と判断された対象者に電話支援を行っている。 本研究は、平成23年度調査における電話要支援者の特徴を明らかにすることを目的とした。対象者は震災時に福島県内で妊婦健診を受診または分娩した者とし、自記式質問紙を郵送し、回答者のうち出生に至った8,358名である。 震災関連要因、分娩経過、母親の要因、児の要因を中心に電話要支援者と非支援者との比較を行った。電話要支援者には、被災で妊婦健診や施設の変更を余儀なくされた者、ハイリスク妊娠、帝王切開分娩術、初産の割合が有意に高かった。また、震災直後は放射線に関する電話相談が多く、電話要支援者は非支援者よりも、放射線の影響を心配してミルクを使用する割合が高かった。放射線に関する相談に次いで多い相談は、母親自身のことや育児についてだった。 緊急時の対応として放射線に関する不安への対応だけでなく、平常時同様の育児支援を、特にハイリスク妊産婦を対象に行うことが重要である。

(石井佳世子)


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連絡先

公立大学法人福島県立医科大学 放射線医学県民健康管理センター 助手 石井佳世子
電話 024-547-1111(大学代表) / FAX 024-581-5368
ホームページ http://fukushima-mimamori.jp/
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