福島県立医科大学 研究成果情報

2017年度 米国泌尿器学会 Best of Posters 〔平成29年 5月〕(2017-05-13)

Effects of decreased estrogen on lower urinary tract function and assessment of purinergic system changes in the guinea pig bladder

エストロゲン低下モルモットの下部尿路機能変化に対する、
  プリン作動性機構の関与について

櫛田 信博 (くしだ・のぶひろ)
医学部 泌尿器科学講座 博士研究員
        

今回の受賞について

【 米国泌尿器科学会(American Urological Association: AUA) 】
1902年に米国の New York で設立された、世界各国に18,000名の会員を有する泌尿器科学領域の国際的な学会です。全米のみならずアジア、ヨーロッパ各国から演題が応募されるBest of Posters賞は、各部門で特に優れた研究に与えられるものです。

概要

米国泌尿器科学会では、これまで4年連続で演題が採用されておりましたが、今回初めてベストポスター賞を受賞することができました。 今回の研究はエストロゲン低下時の下部尿路機能の変化に対して、膀胱のpurinergic系収縮機構および膀胱粘膜層から放出されるATPがどのように関与するか調べたものです。 実験には卵巣摘出により人工的に低エストロゲン状態としたモデルを使用しました。 膀胱粘膜層から放出されるATPは生理活性物質として働き、粘膜下層にある間質細胞や知覚神経に作用して尿意形成に関与します。今回の研究で、エストロゲン低下状態では伸展刺激による膀胱粘膜層からのATP放出量が増加し、頻尿の原因につながる可能性を示すことができました。また排尿時の膀胱収縮においてはcholinergic系が主として働いているのですが、エストロゲンが低下するとその働きが弱まり代償としてpurinergic系収縮が亢進することを薬剤投与や経壁電気刺激などの実験で確認しました。 閉経後の女性には尿意切迫感など過活動膀胱症例が多いこと、またそのような症例では膀胱収縮力が低下する傾向があるなどの臨床的な知見があります。 今回の研究をさらに発展させれば、この病態の発症メカニズムをより詳細に解明できるのではないかと考えております。 今後も研究内容を深め、臨床に役立つような研究になるよう頑張っていきたいと思います。

(櫛田 信博)

 

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