福島県立医科大学 研究成果情報

第90回 日本産業衛生学会 生涯教育委員会若手論文賞 〔平成29年5月〕(2017-05-13)

Risk and preventive factors for heat illness
in radiation decontamination workers
after the Fukushima Daiichi Nuclear Power Plant accident

福島第一原子力発電所事故後の除染作業員における熱中症の危険および予防要因

各務 竹康 (かかむ・たけやす)
医学部 衛生学・予防医学講座 講師

研究グループ : 
各務竹康1、日高友郎1、早川岳人1、熊谷智広1、陣内隆亘1、辻 雅善1、中野新一2、小山菊雄3、福島哲仁1
1 福島県立医科大学 医学部 衛生学・予防医学講座 / 2 中野病院 / 3 福島産業保健総合支援センター
(所属は論文発表当時)  

        

今回の受賞について

【 日本産業衛生学会 】
日本産業衛生学会は、産業衛生に関する学術の振興と、勤労者の職業起因性疾患の予防および健康維持増進を図り、もってわが国の学術と社会の発展に寄与することを目的としています。
目的を達成するために、「産業衛生に関する学術集会、講演会、研修会等の開催」、「学術誌、学術図書の刊行」、「許容濃度等、産業衛生に係る各種基準等の勧告」などの事業を行っています。会員数およそ8,000人で構成されています。

【 生涯教育委員会若手論文賞 】
産業保健分野における若手研究者の研究力向上を図るため論文賞が設立され、第1回は2015年に巻号のついた論文を対象に、2016年に公募されました。審査委員会による審査の結果、各務講師を含めた2名が採択され、第90回日本産業衛生学会にて表彰式、受賞講演会が開催されました。

概要

この研究は、除染作業員における熱中症の関連因子を明らかにし、その効果的な予防対策を樹立することを目的としたものです。(独立行政法人労働者健康安全機構 福島産業保健総合支援センター 2013年産業保健調査研究) 2013年8月に、1,505人の除染作業員に自記式質問票を送付し、作業員の属性、熱中症の予防行動および、作業中の自覚症状についての質問を行いました。 全ての質問に回答していた528人の男性を対象に分析を行いました。熱中症を自覚症状によって「症状なし」、「Ⅰ度熱中症」、「Ⅱ度熱中症」に分類し、その関連因子を重回帰分析により解析しました。 調査に回答した528人の男性のうち、316人(59.8%)が何らかの熱中症自覚症状を訴えていました。 熱中症の予防因子および促進因子として住環境など様々な要因が抽出され、除染作業員の熱中症予防には、労働環境だけでなく、住環境を含む日常生活にも気を配ることが重要であることが示唆されました。 これらの内容が労働者ならびに労働衛生、労働環境を対象とした研究論文として極めて優秀であると評価され、今回の受賞となりました。

(各務 竹康)

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連絡先

公立大学法人福島県立医科大学 医学部 衛生学・予防医学講座   講師 各務竹康
電話 024-547-1174 / FAX 024-547-1174
講座ホームページ http://www.fmu.ac.jp/home/hygiene/index.html/
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