福島県立医科大学 研究成果情報

米国科学誌「The Journal of Immunology」掲載〔平成29年1月〕(2017-01-27)

Mechanisms of impaired neutrophil migration by microRNAs in myelodysplastic syndromes

骨髄異形成症候群におけるmicroRNAを介した好中球遊走能低下のメカニズム

曹 美婉 (つぁお・めいわん)
薬理学講座 大学院生(博士課程)
        
研究グループ
曹 美婉、色摩(亀岡)弥生、木村秀夫、野地秀義、池田和彦、小野委成、小川一英、竹石恭知、木村純子

概要

論文掲載雑誌: 「The Journal of Immunology」 〔2017 Jan. 27〕 高齢者に好発する骨髄異形成症候群(myelodysplastic syndromes: MDS)は、血球が形態・機能の異常を伴って血球が減少し、高率に白血病に移行する造血疾患です。患者死因の約4割が、好中球の減少と機能異常に基づく感染症ですが、血球機能異常のメカニズムは明らかではありません。 本研究では、二つのRho蛋白Cdc42とRac1の活性化の抑制が、炎症刺激を受けたMDS患者の好中球の遊走能の低下の一因となっていることを、明らかにしました。Cdc42の活性化は、Cdc42をGTP結合型に変換する蛋白DOCK8とFGD4の減少により抑制され、一方Rac1は、それ自体の発現減少のために十分な活性が得られません。 以上の結果は、MDS患者の感染症治療や予防に、Cdc42やRac1の活性化を促進する薬物の有効性を示唆します。今後DOCK8、FGD4、Rac1の減少が造血過程にどのような影響を及ぼすのか、これらの蛋白が何故減少するのかを追及することによって、MDSの発症機序に迫る手がかりなると考えています。

(曹 美婉)


連絡先

公立大学法人福島県立医科大学 医療人育成・支援センター(兼)薬理学講座
教授 / 亀岡 弥生
電話 024-547-1153(薬理学講座) / FAX 024-548-0575
講座ホームページ http://www.fmu.ac.jp/home/yakuri/top-index/index.html
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