福島県立医科大学 研究成果情報

ギリシャ科学誌「International Journal of Oncology」〔平成27年10月〕(2015-10-12)

Clinical significance of expanded Foxp3+ Helios- regulatory T-cells in patients with non-small-cell lung cancer

非小細胞肺癌患者における、 Foxp3+ Helios- 制御性T細胞の増加と、その臨床的意義

武藤 哲史 (むとう・さとし)
臓器再生外科学講座 博士研究員
        
研究グループ
武藤哲史、大和田有紀、井上卓哉、渡邊 譲、山浦 匠、福原光朗、岡部直行、松村勇輝、長谷川剛生、大杉 純、星野実加、樋口光徳、鈴木弘行、後藤満一

概要

論文掲載雑誌: 「International Journal of Oncology」 〔2016.Oct. 12 〕 この数年間で免疫チェックポイント阻害剤という薬剤が登場し、ようやく免疫療法が癌治療の標準療法へ加わりました。私たちは以前からがん免疫療法に着目し、臨床においては樹状細胞(ワクチン)療法やペプチドワクチン療法を行ってきました。研究面では、とくに制御性T細胞という免疫機能を抑制する細胞に注目し、肺癌患者さんではこの制御性T細胞が増えていることを報告してきました(長谷川ら, Mol Clin Oncol 2: 685-694, 2014)。 今回私たちは、この制御性T細胞のなかでも、Helios(ヘリオス)という転写因子を発現しない細胞が肺癌患者さんでは増加しており、その変化は癌の進行早期から認められることを明らかにしました。 また、血液中だけでなく癌の病巣部においても、Heliosを発現しない制御性T細胞が多く、このことは癌の進行と関連し、患者さんの予後に影響しました。 このことから、Heliosを発現しない制御性T細胞は、肺癌患者さんの予後予測因子となりうると考えられ、今後その機能を明らかにすることで、がん免疫療法の治療標的となる可能性が示唆されました。

(武藤哲史)


連絡先

公立大学法人福島県立医科大学 医学部 臓器再生外科学講座  教授/鈴木弘行
電話 024-547-1190 / FAX 024-548-1821
講座ホームページ http://www.fmu.ac.jp/home/surgery1/
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