福島県立医科大学 研究成果情報

米国科学誌 「Plos ONE」〔平成27年9月〕(2015-09-08)

Deviance-Related Responses along the Auditory Hierarchy : Combined FFR, MLR and MMN Evidence.

FFR、MLR、MMNを用いた聴覚情報ヒエラルキーにおける逸脱反応に関する研究

志賀 哲也 (しが・てつや)
神経精神医学講座 講師
        
研究グループ
志賀哲也、Heike Alten、Miriam Cornella、Katarzyna Zarnowiec、矢部博興、Carles Escera

概要

論文掲載雑誌: 「Plos ONE」 DOI:10.1371/ journal.pone.0136794 〔2015 Sep. 8〕 聴覚の自動的識別機構を反映した脳波としてはミスマッチ陰性電位(Mismatch Negativity; MMN)が知られており、実験的には単一な音の中に比較的稀な音が発生するオッドボール課題(Oddball paradigm)を用いることにより、100~200msの潜時で誘発することが知られています。 さらに近年では、より早期の成分であるMiddle Latency Response(MLR)にも音の識別機構がみられることが報告されるようになってきました。 今回の研究では、このMMNとMLRに加えて、脳幹レベルの反応であるFrequency Following Response(FFR)の逸脱反応が1つの聴覚課題で誘発されるのかを、振幅変調音の周波数変化オッドボール課題を用いて行いました。 結果、MMN、MLR、FFRの全ての反応において、音の自動的識別反応がみられることを確認しました。これは、1回のパラダイムで同時に脳幹レベルから一次聴覚野、二次聴覚野のレベルまでの識別機構の測定が可能であることを意味します。 MMNは精神科領域において、特に統合失調症で進行性に振幅が減衰することが知られており、最近では早期発見のためのバイオマーカーとしての応用も期待されています。本研究のプロトコールを臨床応用することにより、これまでMMNの減衰がみられていた神経変化がどのレベルにまで達しているのかを詳細に観察することが可能であると思われます。

(志賀哲也)


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