福島県立医科大学 研究成果情報

米国科学誌「Biochemical Pharmacology」掲載 〔平成28年1月〕(2016-01-28)

Prenylated quinolinecarboxylic acid derivative suppresses immune response through inhibition of PAK2

プレニルキノリンカルボン酸誘導体はPAK2キナーゼの阻害を通して免疫応答を抑制する



医学部附属生体情報伝達研究所 生体物質研究部門
助教 
小椋 正人 ( おぐら・まさと )
主任教授 
本間 好 ( ほんま・よしみ )

        
研究グループ
生体物質研究部門 / 小椋正人(助教)、本間 好(主任教授) 東北大学 大学院薬学研究科 医薬資源化学分野 / 大島吉輝(教授)、菊地晴久(准教授)

概要

論文掲載雑誌: Biochemical Pharmacology 2016 Jan. 28 (米国)〔電子版〕 新規作用機序に基づく免疫抑制化合物の発見 ― PAK2リン酸化酵素阻害により免疫応答を抑制する ― 本学医学部附属生体情報伝達研究所 生体物質研究部門の小椋正人 助教、本間好 教授と東北大学大学院薬学研究科医薬資源化学分野 大島吉輝 教授、菊地晴久 准教授の共同研究チームの研究が「新規作用機序に基づく免疫抑制化合物の発見」であるとして、米国医学専門誌「Biochemical Pharmacology」(1月28日、電子版)に掲載されました。 この研究では、細胞性粘菌の二次代謝産物であるPpc-1(※) を基に合成されたプレニルキノリンカルボン酸誘導体(PQA-18)が、サイトカイン産生に重要な役割を果たすPAK2リン酸化酵素の阻害を通して、免疫応答を抑制することを見出しました。 臓器移植、自己免疫疾患およびアレルギー性疾患(アトピー性皮膚炎等)患者は年々増加しており、免疫抑制薬の臨床的重要性は極めて高いものとなっています。ところが、長期投与による腎障害等の副作用が大きな問題点となっており、より安全性の高い免疫抑制薬の開発が求められています。近年、この副作用を低減するために複数の作用機序の異なる薬を低用量で用いる方法も利用されています。本成果は、新規作用機序に基づく免疫抑制薬の開発に繋がり、我が国のみならず世界規模で免疫疾患治療を実現するための柱の1つとなることが期待されます。 【用語解説】 ※ Ppc-1  細胞性粘菌は、カビによく似た子実体を形成する土壌微生物として知られ、多様な生理活性物質を含む生物資源として注目されています。その中でも、Ppc-1は、Polysphondylium pseudo-candidum の二次代謝産物であり、プレニルキノリンカルボン酸(PQA)の基本骨格を持つことが知られています。

(小椋 正人)


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