福島県立医科大学 研究成果情報

米国科学誌「American Journal of Physiology」 掲載  〔平成27年8月〕(2015-08-21)

Relationship of hyperuricemia with mortality in heart failure patients with preserved ejection fraction

拡張性心不全患者の予後に対する高尿酸血症の影響

清水 竹史 (しみず・たけし)
循環器・血液内科学講座 助手
        

概要

論文掲載雑誌: American Journal of Physiology - Heart and Circulatory Physiology 2015 Aug. 21. Epub ahead of print. 近年、高齢化の進行に伴い慢性心不全の患者数は増加の一途をたどっており、その約半数は駆出率の保持された心不全、すなわち拡張性心不全といわれている。拡張性心不全は、駆出率の低下した心不全(収縮性心不全)と同等の死亡率を呈し、病態の解明は十分ではない。一方、プリン代謝の最終産物である尿酸は心血管疾患と密接な関連があり、高尿酸血症は収縮性心不全の独立した予後不良因子であることが示されている。しかし拡張性心不全との関連は不明であり、我々は高尿酸血症と拡張性心不全の予後の関連について観察研究を行った。 心不全加療のため当院に入院した患者のうち、拡張性心不全と診断された連続424例を対象とし、高尿酸血症群と非高尿酸血症群に割り付け、患者背景、血液学および生理学的パラメータ、死亡率(総心臓死、総死亡)を比較した。高尿酸血症群は非高尿酸血症群に比し、高血圧、糖尿病、脂質異常症などの併存疾患を多く有しており、腎機能の低下、動脈硬化の進展、運動耐用能の低下を認めた。平均897日の観察期間において、高尿酸血症群は非高尿酸血症群に比べて、総心臓死・総死亡率はいずれも高値であった。高尿酸血症との関連が示唆される慢性腎臓病の存在、利尿薬の使用などの交絡因子を考慮した多変量解析の結果、高尿酸血症は拡張性心不全における総死亡の独立した予後規定因子であることが示された。

(清水竹史)


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