福島県立医科大学 研究成果情報

米国雑誌「Journal of Clinical Oncology」掲載 〔平成26年4月〕(2014-04-21)

Molecular Response of e19a2 BCR-ABL1 Chronic Myeloid Leukemia  With Double Philadelphia Chromosome to Dasatinib.

e19a2 BCR-ABL1を有する慢性骨髄性白血病は、  ダサチニブにより分子寛解に導入しうる

池田 和彦 (いけだ・かずひこ)
医学部 循環器・血液内科学講座 学内講師
        
研究グループ
循環器・血液内科学講座:池田和彦(学内講師)、小川一英(教授)、竹石恭知(主任教授)            

概要

論文掲載雑誌: Journal of Clinical Oncology 2014 April.21</span

慢性骨髄性白血病(CML)の原因はフィラデルフィア(Ph)染色体によるBCR-ABL1融合遺伝子である。近年、BCR-ABL1によって形成されるチロシンキナーゼを阻害するイマチニブが開発され、CMLの治療成績が著明に改善した。BCR遺伝子の切断点はCMLの90%以上でエクソン13から14に存在するが、一部エクソン1や19に認められることがある。通常のCMLと異なり、エクソン19で切断されたBCR遺伝子によるe19a2 BCR-ABL1を有するCMLにおける標準治療は確立していない。

本報告においては、e19a2 BCR-ABL1を有するCMLにおいては複数のPh染色体等、付加的な染色体異常を伴うことが多く、第一世代チロシンキナーゼ阻害薬のイマチニブに対する反応も不良であることをレビューした。これに対し、第二世代チロシンキナーゼ阻害薬のダサチニブが速やかにe19a2 BCR-ABL1を減少させ、分子寛解を誘導することを示した。 CMLにおいてはBCR遺伝子の切断点を同定し適切なチロシンキナーゼ阻害薬を選択する必要があると思われる。

(池田和彦)


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