福島県立医科大学 研究成果情報

オランダ 科学誌「Schizophrenia Research」掲載 〔平成26年2月〕(2014-02-28)

BDNF Val66Met Polymorphism and Antipsychotic-Induced Tardive Dyskinesia Occurrence and Severity: a Meta-analysis

脳由来神経栄養因子BDNF Val66Met遺伝子多型と抗精神病薬による遅発性ジスキネジアの発症および重症度との関連:メタアナリシス

三浦 至 (みうら・いたる)
福島県立医科大学 神経精神医学講座 学内講師
        

概要

論文掲載雑誌: Schizophrenia Research  2014 Feb; 152 (2-3): 365-72. (オランダ科学誌) 抗精神病薬の副作用である遅発性ジスキネジア(TD)と、脳由来神経栄養因子BDNF Val66Met遺伝子多型との関連についての初めてのメタ解析論文である。 メタ解析の結果、全サンプル(n=1740)ではTDの発症、AIMS scoreとVal66Met遺伝子多型との関連を認めなかったが、人種によるサブグループ解析の結果Caucasianサンプルでは遺伝子型とTDの評価尺度であるAIMS scoreとの有意な関連を認めた(p=0.026)。TDの発症にはドパミンD2受容体が深く関与するとされているが、近年では酸化ストレスがTDの発展に重要な役割を果たすとされ、TD患者では血清BDNF濃度が低下しているという報告もある。これらからBDNFはTD発症に防御的に働いている可能性が示唆されており、本研究からCaucasianにおけるVal66Met遺伝子多型とAIMS scoreとの関連が明らかとなった。

(三浦 至)


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