福島県立医科大学 研究成果情報

第101回 日本泌尿器科学会 総会賞  〔平成25年4月受賞〕(2013-04-26)

「リゾフォスファチジン酸受容体の膀胱壁リモデリングを介した   下部尿路閉塞に伴う膀胱機能障害発症メカニズムの解明」

川島 洋平 (かわしま・ようへい )
福島県立医科大学医学部 泌尿器科学講座 博士研究員
        

今回の受賞について

【日本泌尿器科学会】
日本泌尿器科学会は明治45年4月に第1回総会を開催し、2012年に創立100周年を迎え、会員数は8100名に上ります。教育に重点を置いた国際交流も活発に行われており、グローバル化時代に対応できる人材の育成にも取り組んでいます。
2003年より総会賞が設けられ、日本泌尿器科学会総会賞応募演題から優秀演題が選考されます。
この度、本学泌尿器科学講座博士研究員
川島洋平氏が第101回日本泌尿器科学会総会賞を受賞しました。

概要

前立腺肥大症や尿道狭窄のような下部尿路閉塞があると、膀胱平滑筋の増殖や肥大が誘導され、非代償性・非可逆性の変化が起こり、ついには膀胱機能障害が生じます。 このメカニズムを解明するため、生体活性リゾリン脂質であるリゾフォスファチジン酸(LPA)の多岐にわたる生理作用に着目しました。 ヒト膀胱平滑筋細胞において伸展負荷が増殖に至る径路へのLPAの関与を検討し、膀胱壁リモデリングを介した膀胱機能障害の発症メカニズムを考察しました。 今回の研究で、LPAが細胞増殖作用を示すだけでなく、伸展負荷が増殖に至る径路にもLPA受容体が関与することが示されました。 尿路閉塞に伴う排尿時の伸展負荷によりLPA受容体の活性化がおこり、アゴニスト刺激と相まって膀胱壁のリモデリングが引き起こされると推察されます。 LPA受容体は、閉塞膀胱における膀胱機能障害に対する新しい創薬ターゲットとなりうると考えられました。

(川島洋平)


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