菊地臣一 コラム「学長からの手紙  〜医師としてのマナー〜

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96.給料は時間に対してではなく、仕事に対して支払われる(Part1)

我々医局に在籍する人間は、医師であるかどうかを問わず全員給料でその生計を立てています。では、この給料は何に対しての代価なのでしょうか。給料は、何らかの行為に対する報酬なのです。そこに居ることに対しての報酬ではありません。ですから、医局員や医局職員にとっては目の前にある仕事をこなす事が義務であって、時間内そこに居る事が義務ではないのです。あくまでも時間は区切りをつけるための目安に過ぎないのです。

但し、どれだけの仕事をしたかだけで評価されたり、或いは自分が自分の目標をどれだけ達成したかだけで自己評価していると、私のように片頭痛を起こしたり、高血圧になったり、胃潰瘍になったりします。いわゆるストレス性の心身症になる訳です。こういうふうになるのも困りますが、時間が只無為に過ぎていくのをじっと待っていて、5時になるのを待ち兼ねて帰るという姿を時々見ると、何を生き甲斐にして生きているのか、何を目標に生きているのか、その人間に誇りはあるのかという思いを禁じ得ません。丁度いいのは多分、この中間なのではないでしょうか。

組織の中に生きている人間にとっては他人との調和も大事です。他人が困っている時には手を差し延べ、自分が困っている時には助けられ、そうする事によって組織の一員としての連帯感や組織に属しているという充実感もあるのではないでしょうか。幸か不幸か、組織の一員として給料を貰い行動している以上は、組織の一員であるという誇り、或いは組織の一員であって良かったと思われるような環境を自分から作ることが必要なのではないでしょうか。

このタイトルをとことん突き詰めていくと仲々しんどいことになりますが、以前の No.85 にあるように「スタッフは結果で、研修医は経過で評価される」のも事実なので、お互い身体を壊さない程度には頑張って、自分はこの医局の構成員であるという誇りが持てるような医局員であり医局であるようにしましょう。

⇒Part2は こちら です。

 

 

 

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