東日本大震災の発生から15年

 今年も3月11日を迎え、東日本大震災の発生から15年が経過しました。当時、私は仙台の病院に勤務していましたが、あの日のことは今も鮮明に心に刻まれています。

 激しい揺れの後病院は停電し、暗闇の中で限られた医療資源と情報の中で次々と患者さんが運ばれてきました。暖房が無い廊下のソファで仮眠を取り、いち早く届いた支援物資のバナナを毎日食べながら検査を続けたことを思い出します。

 仙台にも、放射性物質が降り注ぎました。放射線を取り扱う者さえ、見えない恐怖を味わいました。情報は錯綜し、先行きが見えない中、破壊された福島原発建屋にヘリコプターから注がれる水を、スタッフ達と病院内のテレビを食い入るように見ていたました。

 あの時、日常がいかに脆いものか、そして、人々の繋がりや助け合いが、いかに大切かを痛感しました。医療従事者として、患者さんや同僚と支え合い、困難を乗り越えようとした経験は、私の人生において決して忘れることのできないものです。

 15年が経った今、当時の記憶は風化させてはならないという思いがあります。あの経験を次の世代に語り継ぎ、より安全な社会を築くために、私たち一人ひとりが何をすべきかを考え続けることが重要だと感じています。

 キャンドルの灯りを見つめながら、犠牲になられた方々に追悼の意を表するとともに、あの日の教訓を共有し、未来への希望を灯す夜となることを願っています。

高橋 規之教授

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