レントゲン博士

先日、私はドイツにあるヴュルツブルク大学を訪れました。この大学は、アルツハイマー型認知症の発見者であるアルツハイマー博士、白血病の命名者である病理学者ウィルヒョウ博士、そして私の故郷である長崎と縁の深いシーボルト博士の出身校として知られています。さらに、私たち診療放射線技師にとっても特別の意味を持つヴィルヘルム・レントゲン博士がX線を発見した大学としても名高いです。今回の訪問では、レントゲン博士がX線を発見した実際の研究室を訪問して、彼の業績について学ぶ機会に恵まれました(図1)。

レントゲン博士は1895年に「放射線の新種」と題した論文でX線の発見を発表しました。彼は研究と論文執筆に非常に没頭して、トイレに行く時間さえも惜しんだと言われています。このX線の発見は、放射線医学研究の幕開けとなり、現代の画像診断や放射線治療の基礎を築きました。多くの医療機器会社がレントゲン博士にX線の特許取得を勧めましたが、彼は「X線は人類が広く利用するべき」と考え、全て断りました。その結果、現在までにX線は全世界の臨床現場で広く使われ、多くの命を救っています。レントゲン博士は1901年には第1回ノーベル物理学賞を受賞し、賞金は大学に全額寄付しました。私も将来、何かしらの形で多くの人々の命や健康に貢献する研究成果を発表できるよう努力したいと改めて実感しました。

先月、福島県立医科大学とヴュルツブルク大学は研究協力のための交流協定を結びました。今後、保健科学部でも核医学領域において、大学院生を中心にヴュルツブルク大学との学生交流などを行っていきたいと計画しています。皆さんも一緒に放射線医学研究の分野で世界に挑戦しませんか!

レントゲン博士がX線を発見した実際の研究室での記念写真、訪問者たちが集まっている様子。

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