難聴と孤立が招く負の連鎖を防ぐには
- 教授
- 曽根 稔雅
- そね としまさ
- 疫学、公衆衛生学、老年医学、介護予防
これまで、このメッセージを通じて、人とのつながりや孤立予防の大切さについて触れてきました。今回は、私がこれから取り組もうとしている新しい研究についてお話ししたいと思います。
現在、私は社会的孤立が健康に与える影響について、さらに深く調べようとしています。孤立を深める要因の一つとして、実は難聴が大きく関わっていることをご存知でしょうか。日本の75歳以上の方の3割以上が難聴を自覚していると言われています。特に高音域が聞こえにくくなる傾向にあり、コミュニケーションがうまくとれないことで、人との関わりを避けて社会的孤立を深刻化させてしまいます。難聴と社会的孤立が重なると、外出する機会が減って閉じこもりになりがちです。この閉じこもりがきっかけとなり、社会参加の機会が失われることで認知機能や精神機能、さらには口腔機能や栄養状態、身体の機能まで連鎖的に低下し、最終的に要介護状態になってしまうのではないか、という仮説を立てています。私の研究では、この多段階的な「負の連鎖」の仕組みを明らかにすることを目指しています。
この連鎖を断ち切るためには、難聴への早期の対応(補聴器の活用など)や、地域における積極的な社会参加・外出の支援が鍵になります。皆さんもぜひ、ご自身やご家族・身近な方々の「聞こえ」や「外出の様子」を、少し気にかけてみてください。