広がる学校作業療法
- 教授
- 倉澤 茂樹
- くらさわ しげき
- 発達障害、特別支援教育、学校コンサルテーション
学校教育に作業療法士がどう貢献できるか?私の研究テーマです。今、学校で作業療法士の活躍が大きく広がっています。特別支援学校だけでなく、通級による指導(通常学級に在籍し、一部だけ個別的指導を受ける授業形態)にも参画するようになりました。対象となる児童・生徒等も幼稚園から大学生まで報告されるようになりました。
岐阜県飛騨市では全ての小・中学校に作業療法室があり、作業療法士が月2回のペースで各学校を巡回訪問しています。友達づきあい、教科学習、余暇活動など学校生活において子ども達の大切な“作業”を支援しているのです。学校作業療法は他の地方自治体にも広がっています。神奈川県教育委員会では作業療法士11人に特別免許状を授与して採用し、普段は特別支援学校に勤務しながら小・中学校を巡回訪問しています。その他、千葉県浦安市や大阪府堺市や豊中市など…学校現場において作業療法士の支援技術を求める声が高まっています。
令和6年12月1日、第5回飛騨市Well-Beingフォーラムに講師として招聘されました。講演内容は私が高等学校の通級による指導で実践している「自分研究」です。「自分研究」は生徒が、自身の強みと弱み、過去の経験を振り返って未来の自分を考えることを手助けする支援技術です。小・中学校の学校作業療法を手掛けている飛騨市が思春期・成人期の支援に着手することを見据えて私を招聘したのです。現地開催のみであったにもかかわらず350人の教員・作業療法士・保護者等…が集い大盛況でした。
学校の先生はクラス全体を見渡しながら子供たちを指導するスペシャリストです。一方、作業療法士は“生きづらさ”を抱える一人ひとりに目を配り支援を考える専門家です。両者が連携し協業することで、よりよい学校生活が実現すると考えています。
