“できない”から“できた”作業療法士のスゴ腕!

学校コンサルテーションに行くと、発達障害が想定されるものの、診断されていない児童・生徒に遭遇します。
ある通常学級に通う3年生の男の子について書きます。その子は手先が不器用で、運動が苦手でした。僕(作業療法士)の見立てでは発達性協調運動症(発生率5~6%)が疑われました。その子は癇癪や暴力、規則違反的な行動を繰り返していました。学校コンサルテーションの開始時はほとんど教室におらず、図書館や保健室で加配の先生と過ごしていました。僕はこの状況を、不器用で努力しても成果が出ない、失敗経験の蓄積による二次障害と考えました。そして、教職員と保護者に検査結果をもとに、現状を説明し、具体的な提案を行いました。①努力を褒めること、②簡単な課題からはじめること、③指示を明確にし、プリントを活用すること、④使いやすい文房具を選ぶこと、⑤問題行動が生じた場合の対応と予防策…などです。1年後、暴力や規則違反行動は認められなくなり、ほとんどの時間、教室で過ごせるようになりました。
「誰も悪くない…」学校コンサルテーションで大切にしている言葉です。子供は悪くない、保護者も、教職員も、誰も悪くない…。でも、みんな困っています。作業療法士は見えない要因を探り、具体的な対応策を見出します。
障害者差別解消法によって合理的配慮がもとめられています。でも、体の不自由な“見える障害”に偏重してはいけないと考えます。“見えない障害に目をむける”“声なき声に耳を傾ける”そんな社会であってほしいと思っています。

自分の腕が長くなり、文房具を使う男の子と、何年経っても慣れない自分を抱える女の子のイラスト。

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