2021年福島市に初雪が降った日の出来事
- 助教
- 三浦 里織
- みうら さおり
- 輸血・移植免疫学、臨床検査学、認知症関連
わたしは福島市に生まれ育ち、学生時代を他県で過ごし、今は福島市に在住しています。出勤には公共バスを利用しているのですが、昨年、福島市に初雪が降った日の朝、「さて、出かけよう。」と、バスの定期券を探すと、どこにも無いのです。本当に焦ってしまい、どこで落としたのかも全く記憶になく、警察署に電話をしました。すると、担当の方から折り返し連絡があり、ある交番にわたしの定期券が届いていると。そこで、急いで受け取りに行きました。交番の方が、「今朝6時半頃に届きました。雪に埋もれていたので、綺麗に掃除しておきましたよ。クリスマスプレゼント!」と、言って渡してくれました。わたしは、「ありがとうございます。本当に助かりました。届け主の方は?」と、聞き返しました。すると、「届け主の方は、ご本人に無事、この定期券が届いてくれれば良いのです。わたしの所在は知らせないでください。と言っていました。」とのお話しでした。わたしは、人の温かさに触れ、ありがたく、心が洗われたような気持ちになりました。
医療において、臨床検査技師は、患者さんのI.D.とお名前、患者さんから採取された検体に向き合うことが多く、ご本人に会う機会が少ない検査分野もあります。わたしにとってこの日は、顔の知らないわたしの定期券の拾って下さった方、そして交番の方への感謝から、臨床検査技師であるわたしは、検体の先に、病気を抱え、戦っている患者さんがいる事を忘れず、真摯に自分の専門分野に向き合う事で、臨床検査を通じ、医療に貢献し、きっと、その先に患者さんの笑顔があることを信じて頑張りたいと、改めて強く心に誓った特別な日となりました。