福島県立医科大学 研究成果情報

米国腫瘍放射線学会誌「International Journal of Radiation Oncology, Biology, Physics」掲載(令和4年11月8日オンライン)(2022-12-09)

Radiation-induced remodeling of the tumor-microenvironment through tumor cell-intrinsic expression of cGAS-STING in esophageal squamous cell carcinoma

食道扁平上皮癌における腫瘍細胞内cGAS-STING経路を介した放射線治療による腫瘍微小環境リモデリング機構の解明

中嶋 正太郎(なかじま・しょうたろう)
医学部 消化管外科学講座・癌集学的治療地域支援講座 准教授

河野 浩二(こうの・こうじ)
医学部 消化管外科学講座・癌集学的治療地域支援講座 主任教授

        
研究グループ
中嶋正太郎、三村耕作、金田晃尚、齋藤勝治、片方雅紀、岡山洋和、齋藤元伸、佐瀬善一郎、渡辺洋平、花山寛之、多田武志、坂本渉、門馬智之、大平弘正、河野浩二

概要

論文掲載雑誌:「International Journal of Radiation Oncology, Biology, Physics」(令和4年11月8日オンライン)


 放射線治療は腫瘍細胞を殺傷することで樹状細胞の活性化や腫瘍特異的CD8+T細胞浸潤を促し, 抗腫瘍免疫応答を活性化する一方, 腫瘍随伴マクロファージ(M2-TAM)などの免疫抑制性細胞群の集積等を誘導することで様々な免疫応答が混在した複雑な癌微小環境を形成します。放射線治療による癌微小環境リモデリングにはcGAS-STING経路の関与が示唆されていますが、放射線治療による食道扁平上皮癌(ESCC)微小環境リモデリングにおけるcGAS-STING経路の役割はほとんど明らかにされていませんでした。

 本研究では 腫瘍細胞内cGAS-STING経路が、放射線治療によるESCC微小環境中のCD8+ T細胞などの免疫細胞の活性化に重要である一方、IL-34の産生を介してM2-TAMの蓄積や分極にも関与することが明らかとなりました。今後、ESCCにおいてcGAS-STING経路やIL-34を標的とすることで放射線治療の治療効果や免疫チェックポイント阻害薬などとの併用療法の治療効果を改善する新たな治療戦略の開発に繋がる可能性が期待されます。


連絡先

公立大学法人 福島県立医科大学 医学部 消化管外科学講座・癌集学的治療地域支援講座

電話:024-547-1111(大学代表)

FAX:024-547-1980

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