
- 加藤 成樹 (かとう・しげき)
- 生体機能研究部門 准教授
- 小林 和人(こばやし・かずと)
- 生体機能研究部門 教授
- 研究グループ
- 理化学研究所 脳神経科学研究センター 触知覚生理学研究チーム
チームリーダー 村山正宜(ムラヤマ マサノリ)
リサーチアソシエイト 齋藤喜仁(サイトウ ヨシヒト)
研究員 大石康博(オオイシ ヤスヒロ)
テクニカルスタッフⅠ 小田川摩耶(オダガワ マヤ)
テクニカルスタッフⅡ 松原智恵(マツバラ チエ)
客員研究員 大迫優真(オオサコ ユウマ)
学習・記憶神経回路研究チーム
チームリーダー ジョシュア ジョハンセン(Joshua P. Johansen)
神戸大学大学院理学研究科生物学専攻
准教授 森田光洋(モリタ ミツヒロ)
福島県立医科大学医学部生体機能研究部門
教授 小林和人(コバヤシ カズト)
准教授 加藤成樹(カトウ シゲキ)
概要
論文掲載雑誌:「Neuron」(2025年1月29日)
脳の扁桃体と大脳皮質領域が睡眠中に協調的な活動をすることで、楽しい・うれしいといった情動を伴う知覚記憶が増強されるメカニズムを解明しました。この成果は知覚記憶と情動の関係における新たな知見をもたらし、依存症や心的外傷後ストレス障害を克服する神経基盤の解明に貢献することが期待されます。
我々のグループは、情動の制御を司る扁桃体と、知覚情報を処理する大脳皮質の神経活動をマウスにおいて同時に記録し、これらの脳領域の神経細胞間の協調活動である同期発火が、楽しい体験によって促進して、知覚記憶が強化されることを発見しました。特に、楽しい体験の直後の深い眠り(ノンレム睡眠)のときに、扁桃体を起点として、これらの脳領域間の同期発火が上昇することを確認しました。また、扁桃体から大脳皮質への活動の広がりを抑制すると、楽しい体験による知覚記憶の強化が阻害されることを明らかにしました。以上の結果は、ノンレム睡眠中の扁桃体と大脳皮質の協調的な活動が、情動を伴う知覚記憶の強固な定着に重要であることを示しています。
今後は、老齢マウスにおける記憶強化の試み、依存症モデル動物を用いた依存対象に関連する記憶の減衰、心的外傷後ストレスの克服など、臨床応用に向けた研究を展開する予定です。
詳細は理化学研究所のホームページをご覧ください。
https://www.riken.jp/press/2025/20250130_1/index.html
(加藤 成樹)
連絡先
公立大学法人福島県立医科大学医学部生体機能研究部門
電話:024-547-1667
FAX:024-548-3936
講座ホームページ:https://www.fmu.ac.jp/home/molgenet/