- 西浦 司人 (にしうら・かずと)
- 循環器内科学講座 助手
- 研究グループ
- 西浦司人、横川哲朗、三浦俊輔、佐藤彰彦、三阪智史、及川雅啓、義久精臣、杉本浩一、中里和彦、竹石恭知
今回の受賞について
日本肺高血圧・肺循環学会
日本肺高血圧・肺循環学会は、肺高血圧症という病気の啓蒙、肺高血圧症の病態解明、診断と治療成績の向上、および治療指針の確立をはかり、これを通じて本症の予後の改善・疾患克服と政策構築に貢献することを目的として活動を行っている。
賞について
40歳未満の日本肺高血圧・肺循環学会の会員を対象に、学術集会YIA選考委員会により選出される。学術集会のYIA応募演題の中から演題抄録を対象とした一次審査と口述発表による最終審査により選考される。
概要
(背景・目的)
肺高血圧症の病態には、肺動脈平滑筋細胞の異常増殖や肺動脈周囲マクロファージが重要な役割を演じている。本研究では、マクロファージの分化・増殖を制御するColony stimulating factor 1 receptor(CSF1R)の肺高血圧症での意義を検討した。
(方法・結果)
肺高血圧症患者の肺組織では、健常肺に比し、CSF1R陽性細胞が有意に多く浸潤していた。モノクロタリン誘発性肺高血圧症モデルラットとSU5416/低酸素による肺高血圧症モデルマウスの肺組織でもCSF1Rのリン酸化が生じていた。CSF1R阻害薬、CSF1R中和抗体をそれぞれ肺高血圧症モデル動物に投与すると、肺高血圧が改善し、肺動脈周囲CD68陽性マクロファージ、Arg1陽性M2マクロファージの数が減少した。また、肺高血圧症モデルマウスにおいてCsf1rをノックダウンすると肺高血圧が改善した。さらに、肺由来M2マクロファージの培養上清で、肺動脈平滑筋細胞を培養すると増殖能が亢進し、CCL2中和抗体を加えた培養では増殖能が抑制された。
(結語)
CSF1Rが肺動脈周囲マクロファージの増殖に役割を果たし、さらにM2マクロファージ由来のCCL2が肺動脈平滑筋細胞の増殖に関わることで、肺高血圧症の病態を進行させていることが示唆された。
(西浦 司人)
連絡先
公立大学法人福島県立医科大学 医学部 循環器内科学講座
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FAX:024-548-1821
講座ホームページ:https://www.fmu.ac.jp/home/int-med1/intmed1main.htm